駒井孝行

駒井 孝行

駒井孝行（こまい たかゆき）は、1960年10月26日に京都府京都市上京区で生まれた、日本の元ラグビー選手であり、指導者としても多大な足跡を残している人物である。現役時代はフランカー（FL）としてグラウンドを駆け巡った。

選手としての歩み

京都の衣笠中学校でラグビーに触れ、花園高校へと進んだ駒井氏は、高校卒業後に法政大学のラグビー部へ進学。大学でのプレー期間中、特に1983年度には関東大学リーグ戦グループのベスト15に選出されるなど、その才能を開花させた。

大学を卒業後は株式会社ヤクルトに入社し、ヤクルトラグビー部の一員として現役生活を続けた。ヤクルトではチームの主将を務めるなど、選手としてチームの中心を担った。

指導者としてのキャリアの確立

現役引退後、駒井氏はラグビー指導者の道に進む。1993年には、かつて自らも所属したヤクルト本社ラグビー部の監督に就任。監督としてチーム強化に尽力し、その手腕は短期間で成果となって現れた。就任初年度に関東社会人ラグビー大会3部で優勝を飾り、1995年には2部でも優勝、そして2003年には1部で準優勝という実績を残すなど、チームをカテゴリーの階段を駆け上がらせた。ヤクルトの監督は2005年まで務め上げた。

ヤクルトでの監督業と並行して、1988年からは母校である法政大学ラグビー部のコーチとしても指導に当たっていた。コーチとして、法政大学が全国大学ラグビー選手権において優勝1回、準優勝1回という輝かしい成績を収める上で、チームの強化に大きく貢献した。

2007年には、満を持して法政大学ラグビー部の監督に就任（1期目）。この監督在任期間中、チームは関東大学リーグ戦で常に上位争いを演じ、全国大学選手権でも上位進出を果たした。この時期に指導を受けた選手の中には、後に日本のトップリーグや日本代表で活躍する人材も多く含まれている。

法政大学の監督を退任した後、2013年には当時の大学ラグビー界で圧倒的な強さを誇っていた帝京大学ラグビー部にフォワード（FW）コーチとして招かれた。帝京大学が2013年度から2016年度にかけて達成した、大学選手権における前人未踏の8連覇という歴史的な偉業は、強固なFW力を基盤としており、駒井氏の指導がその一助となったことは間違いない。

近年の活動とラグビー界への貢献

帝京大学でのコーチングを経て、駒井氏は活動の場をさらに広げている。2017年4月からは、トップリーグ（現：リーグワン）所属のキヤノンイーグルス（現：横浜キヤノンイーグルス）において、スカウトマネージャーとして選手の獲得・育成に関わる重要な役割を担っている。

また、競技の運営や発展にも積極的に関わっており、2019年には関東ラグビーフットボール協会の理事を務めることになった。そして2021年には、関東大学ラグビーリーグ戦グループの理事長に就任するなど、要職を歴任し、日本ラグビー全体の振興に貢献している。

2020年には、再び法政大学ラグビー部の監督として母校の指揮を執ることが発表された（2期目）。これは、指導者としての豊富な経験と、母校ラグビー部への深い愛情や理解が高く評価された結果と言えるだろう。

著作活動

駒井氏は指導者としての経験やラグビーへの知見を、書籍を通じて広く伝える活動も行っている。2010年3月には、ラグビーの技術や戦術に関する書籍『試合で大活躍できる!ラグビー必勝のコツ50』（メイツ出版）の監修を手掛けた。

駒井孝行氏は、選手として培った経験を基に、ヤクルト、法政大学、帝京大学という異なる環境で指導者として成功を収め、数多くの優れた選手を育ててきた。さらに、クラブチームの運営やラグビー協会の要職に就くなど、多角的な視点から日本ラグビー界の発展に寄与し続けている、まさしくラグビー人である。

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