駿台英和女学校

駿台英和女学校の軌跡

駿台英和女学校（しゅんたいえいわじょがっこう）は、明治時代に東京の地で教育活動を行った、アメリカ北部バプテスト派によって設立された女子教育機関です。その歴史は、北部バプテストの宣教師であるJ・H・アーサー氏が、1874年6月に東京での布教活動を開始したことから始まります。

翌1875年の春、アーサー氏は東京の駿河台鈴木町22番地（現在の千代田区神田駿河台二丁目に相当する場所）に建てられた西洋館で、後の駿台英和女学校の礎となる女子向けの教育活動を始めました。この土地は、学校の支援者であった森有礼氏が所有していましたが、教育内容に聖書を含めることについて意見の相違が生じたため、森氏は学校への支援を取りやめました。この出来事により、学校の存続が危ぶまれる事態に陥ります。

学校が困難な状況にあった1875年11月、バプテスト婦人海外伝道協会から派遣された宣教師A・H・キダー（1840-1913）が来日しました。キダー氏は、その後の長い年月、死去するまで学校運営の中心的な役割を果たし、学校を支え続けました。彼女の献身的な努力が、その後の学校の発展に大きく寄与することになります。

駿台英和女学校は、設立当初の駿河台から何度か所在地を変遷しています。1882年11月には築地の30番館へ一時的に移転しましたが、その後再び駿河台のエリア内で移転を繰り返し、最終的には1885年7月29日に完成した、駿河台袋町10番地に位置する校舎に移りました。この校舎は、学校の新たな拠点として、その教育活動を支えました。

駿台英和女学校は、質の高い教育を提供していたことで知られ、社会的に高い評価を得ていたと伝えられています。しかし、学校が使用していた敷地が手狭であったことなどから、これ以上の規模の拡大や教育内容の発展が困難であると判断されました。その結果、学校は1921年3月末をもって、惜しまれつつ閉校を迎えることとなりました。

学校としての役目を終えた後、駿河台袋町の校舎は異なる用途で活用されました。しばらくの間、女性宣教師たちの宿舎として利用されたほか、日本YWCAの本部事務所としても使われました。しかし、この歴史ある校舎は、1923年9月1日に関東地方を襲った未曽有の大震災、関東大震災によって惜しくも倒壊し、その姿を失うこととなりました。

駿台英和女学校は、明治期の日本において、ミッションスクールとして女子教育に貢献した重要な存在であり、その短いながらも波乱に満ちた歴史は、当時の社会情勢や教育のあり方を物語っています。

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