騎兵隊 (映画)

映画『騎兵隊』解説

『騎兵隊』（The Horse Soldiers）は、1959年に公開されたアメリカの西部劇映画です。巨匠ジョン・フォードが監督を務め、ジョン・ウェイン、ウィリアム・ホールデンといった名優が出演しています。南北戦争を舞台に、北軍騎兵隊の活躍を描いた作品で、実話を基にした重厚なストーリーと迫力ある戦闘シーンが見どころです。

概要

本作は、南北戦争におけるビックスバーグ包囲戦で活躍したベンジャミン・グリアソン将軍をモデルにしています。ハロルド・シンクレアの同名小説を原作とし、1863年に行われたグリアソン襲撃を脚色したものです。北軍が南軍を分断するために行った作戦で、騎兵隊がミシシッピ州を南下し、ビックスバーグの要塞を迂回するという大胆なものでした。

あらすじ

1863年、北軍は南軍の重要拠点であるビックスバーグ攻撃を計画。ジョン・マーロー大佐は、南軍の補給を絶つため、ニュートン駅の破壊を命じられます。敵地に深く侵入する危険な作戦に、軍医のケンドール少佐が部隊に加わりますが、マーローは過去の経験から医者を嫌っていました。

進軍中、マーローの部隊は農園に宿泊。女主人のハンナは士官たちをもてなしますが、それは作戦を盗み聞き、南軍に密告するための策略でした。ハンナは捕らえられ、隊に同行させられることになります。ハンナは脱走を試みたり、南軍に助けを求めたりと、マーローたちを困らせますが、戦闘では看護助手として献身的に働く一面も見せます。

ニュートンの町を制圧したマーローの部隊は、駅を破壊し、線路を使用不能にします。その中で、ハンナはマーローが過去に誤診で妻を亡くしたために医者を嫌っていることを知ります。反発しながらも、ハンナは次第にマーローに惹かれていきます。

帰路を断ったマーローは、さらに南下してバトンルージュを目指します。道中は南軍の領土であり、南軍は士官学校の生徒まで動員して迎撃しようとします。16歳以下の少年兵たちに、マーローの部隊は発砲することなく退却します。

危険な沼地を突破し、バトンルージュに辿り着いたマーローたち。橋を渡れば北軍の領土ですが、南軍は橋の先に大砲を設置して待ち伏せていました。マーローの部隊は決死の覚悟で突破を試み、南軍を打ち破ります。しかし、後方からも南軍が迫ってきます。ケンドール医師は、動けない負傷兵と共に南軍側に残ることを決意。ハンナに別れを告げ、マーローは橋を爆破し、任務を遂行します。

キャスト

ジョン・ウェイン：ジョン・マーロー大佐
ウィリアム・ホールデン：ケンドール少佐
* コンスタンス・タワーズ：ハンナ・ハンター

評価

『騎兵隊』は、ジョン・フォード監督らしい重厚な人間ドラマと、迫力のある戦闘シーンが融合した作品として高く評価されています。特に、敵対する立場でありながら、次第に惹かれあっていくマーローとハンナの関係は、観る者の心を揺さぶります。また、戦争の悲惨さや、兵士たちの苦悩を描いた作品としても見応えがあります。

2023年には、日本語吹替音声収録4Kレストア版が発売され、新たなファンを獲得しています。

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