驚異のスーパー・バイク ストリートホーク

驚異のスーパー・バイク ストリートホーク



『驚異のスーパー・バイク ストリートホーク』は、1985年にアメリカのABCネットワークで放送された特撮アクションテレビドラマです。原題は『STREET HAWK』。ユニバーサル・テレビジョンが、『ナイトライダー』や『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ|超音速攻撃ヘリ_エアーウルフ』といった同社の人気シリーズに続いて手掛けた、高性能なハイテクマシンを主役とする作品群の一つであり、多くの共通スタッフが製作に参加しています。パイロット版を含む全13話が制作・放送されましたが、第1シーズン限りで打ち切りとなりました。

日本では、CIC・ビクターからパイロット版のみがビデオソフトやレーザーディスクとして販売されました。その際の邦題は、LD版が『ストリートホーク』、ビデオソフト版やVHD版では『驚異のスーパー・バイク ストリートホーク』と表記ゆれがありました。ソフト化の際にはテレビドラマであることが伏せられ、「未公開作品」として扱われています。

ストーリー概要



物語の中心となるのは、バイクの卓越した運転技術を持つ白バイ警官のジェシー・マークです。彼はモトクロス中に麻薬組織の密会を偶然目撃した親友のマーティー・ウォルシュと共に、組織の襲撃に遭います。この事件で親友を失い、自身も膝に重傷を負ったジェシーは、後遺症でバイクに乗れなくなり、警察署の広報課へ異動となります。

しかし、彼の運転技術に以前から注目していた政府特殊機関(原語版では司法省の「法執行支援局」)の技術者ノーマン・タトルが、ジェシーに接触。ノーマンは、自身が4年間心血を注いで開発した極秘のハイテク戦闘バイク「ストリートホーク」のライダーになってほしいと提案します。この機関の最新医療で膝の怪我を完治させることを条件に、ジェシーはライダーとなることを承諾。

こうして、ジェシーは表向きは広報課員、その実態はストリートホークを駆る極秘のトラブルシューターとして、管制オペレーターを務めるノーマンと二人三脚で、都市の犯罪現場へと出動することになります。彼らの使命は、ストリートホークの能力を駆使して凶悪犯罪に立ち向かうことです。

主役マシン「ストリートホーク」



ストリートホークは、アメリカ合衆国司法省の最高機密プロジェクトとして、法執行支援局によって試作された高性能戦闘オートバイです。開発者ノーマン・タトルの壮大な夢は、このバイクを将来的に量産し、全国の警察に配備してストリート犯罪を根絶することでした。

このバイクは単体で完結するのではなく、ダウンタウンの隠れ家にある管制室の大型コンピューターと連動する大規模なシステムの一部として機能します。車体自体にも高性能コンピューターが搭載されています。

ライダーであるジェシーが装着する専用ヘルメットも重要なシステムの一部です。バイザーを通して見える映像は自動的に録画され、同時に管制室のスクリーンにも投影されます。ノーマンはこれを見ながらジェシーにリアルタイムで指示を送ります。バイザーには遠方の映像を拡大表示する望遠機能も備わっています。録画された映像は、しばしば犯人車両の特定などに利用されました。また、登録された人物以外が乗ろうとすると、バイクが自動で搭乗者を排除する防犯機能も備わっています。

武器やジャンプといった主要な操作は、主にハンドル左手のスイッチに集約されています(ただし、レーザーキャノン展開は車体側のスイッチ)。照準はバイザーの視界を通して行われます。

走行性能はオンロード、オフロードを問わず高い走破性を誇りますが、特筆すべきは「ハイパースラスト」と呼ばれる超高速走行機能です。これは管制室のノーマンのスイッチ操作によって作動し、5秒(初回は10秒)のカウントダウン後に一気に時速300マイル(約480km)以上まで加速します。作動中は管制室からの遠隔操作となり、ライダーのジェシーは運転操作を行わず、車体にしっかりと掴まっているだけです。このハイパースラストで事件現場に急行するシーンは、各エピソードの大きな見どころの一つとなっています。

ストリートホークは地下格納庫に格納されており、出動時は格納庫の床がスライドし、外観をグラフィティ風のイラストで偽装したハッチが開いて、道路へジャンプして発進します。劇中では帰還シーンは描かれませんでした。

性能・装備



最高速度: 通常時 約320km/h、ハイパースラスト時 約480km/h以上。
搭載兵器:
レーザーキャノン:フロントカウル上部にリトラクタブル式で1門。赤色光線を発射し、威力調整が可能で、人間を気絶させることからトラックを破壊することまでできます。シリーズ版では、主に扉の切断などに使用されました。
ゴム弾発射筒。
マシンガン:フロントカウル左右に2門(第2話以降)。シリーズ版で追加され、犯人車両への攻撃の主力となりました。
ロケット・ランチャー:フロントカウル左右に2門(第2話以降)。シリーズ版で追加されました。
その他の装備:
リトラクタブル式ヘッドライト:赤外線照射に切り替え可能。
赤外線カメラ。
圧搾空気式ヴァーティカル・リフト:スイッチ一つで約30mのジャンプが可能ですが、劇中ではナイト2000と同様に低空での斜め前方へのジャンプが多用されました。これはストリートホークの存在が極秘であったため、犯人制圧後にパトカーと入れ替わりに姿をくらます際に主に用いられたためです。シリーズを通して一度だけ行われた真の垂直上昇では、上空での偵察という離れ業を見せています。
エアブレーキシステム:高速走行からの瞬時停車が可能。

撮影用車両



撮影には、ホンダのオフロードバイクが改造されて使用されました。

パイロット版では1983年式のホンダXL500が1台。
シリーズ版(第2話以降)では1984年式のホンダXR500が3台が主に使われました。
スタントシーン用として、1984年式のホンダCR250が11台用意されました。

パイロット版のバイクは黒色でシャープなデザイン、武装も限定的でしたが、シリーズ版では黒に近いメタリック・ダークグリーンとなり、フロントカウルが丸みを帯びて幅広くなりました。また、マシンガンやロケットランチャーといった実弾兵器が追加装備されています。車体全体のシルエットもより太くなり、垂直上昇システム用の噴射口が確認できるようになりました。

劇中では全ての車両が同一のストリートホークとして扱われていますが、パイロット版を含むと外観が異なる4種類のデザインが存在します。

日本での映像ソフト化



日本では1985年5月より、CIC・ビクタービデオからパイロット版のみが以下のメディアで発売されました。

VHSビデオソフト:字幕スーパー版、モノラル音声。
ベータビデオソフト:字幕スーパー版、モノラル音声。
レーザーディスク:字幕スーパー版、モノラル音声。発売元はレーザーディスク株式会社。
VHDビデオディスク:字幕スーパー版、モノラル音声。1986年2月発売。

これらのソフトは、作品がテレビドラマであることには触れず、「未公開作品」と記載されて販売されました。

音楽



本作の音楽は、旧西ドイツ出身の電子音楽グループ「タンジェリン・ドリーム」が担当しました。印象的なテーマ曲は特に知られています。オリジナルサウンドトラック盤は正式には発売されていませんが、1985年タンジェリン・ドリーム名義でテーマ曲を含む12インチレコードが発売されています。また、彼らのアルバム『ル・パーク』にも本作のテーマ曲が収録されました。このテーマ曲は、1996年のアトランタオリンピック開会式や日本のテレビ番組でも使用されたことがあります。

その他の情報



初期設定における主役バイクの名称は「ファルコナー」でした。
主人公のヘルメットは、イタリアのギブリ社製のものを加工して使用しています。
第4話には、『ナイトライダー』に登場するナイト財団の移動本部トレーラーが映り込んでいるシーンがあります。

短命に終わったシリーズですが、その独特なハイテクバイクと電子音楽が強い印象を残し、現在でも一部に根強いファンが存在します。2010年にはイギリスとアメリカで全話収録のDVD-BOXが発売され、再び注目を集めました。

製作会社: ライムキルン・アンド・テンプラー・プロダクション、ユニバーサル・テレビジョン

製作参加・協力: ホンダ(オートバイ提供)、テクニカラー、ユニバーサル・タイトル、パナヴィジョンなど

主なスタッフ:
企画: ブルース・ランズベリー、ポール・M・ベラス、ロバート・ウォルターストーフ
製作総指揮: ポール・M・ベラス、ロバート・ウォルターストーフ
プロデューサー: バートン・アルムス、スティーヴン・クラッグ、カレン・ハリスなど
監督: ヴァージル・W・ヴォーゲル、ダニエル・ホーラー、ポール・スタンリー、キム・マナーズなど
脚本: ロバート・ウォルターストーフ、ポール・M・ベラス、ニコラス・コリアなど多数
音楽: タンジェリン・ドリーム
ストリートホークデザイン: アンドリュー・プロバート(パイロット版)、ロン・コッブ(シリーズ版)

主なキャスト:
ジェシー・マーク: レックス・スミス
ノーマン・タトル: ジョー・レガルブート
レオ・アルトベッリ署長: リチャード・ヴェンチャー
レイチェル・アダムズ: ジーニー・ウィルソン(第2話以降ヒロイン)
サンディー・マッコイ: ジェイン・モディーン(パイロット版ヒロイン)
バーニー・ゴールドバーグ: レイモンド・シンガー
アントニー・コリドー: クリストファー・ロイドパイロット版ゲスト)
ケヴィン・スターク: ジョージ・クルーニー(第2話ゲスト)

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。