高天神城

高天神城について

高天神城（たかてんじんじょう）は、静岡県掛川市の上土方および下土方地域に位置する、日本の歴史的な城です。この城は、遠江国城東郡土方にあったもので、戦国時代には武田信玄や勝頼と徳川家康の間で繰り広げられた激しい争奪戦の舞台となりました。その優美な山の形状から「鶴舞城」とも名付けられ、現在では国の史跡に指定され、2017年には「続日本100名城」に選ばれています。

立地と特徴

高天神城は菊川下流域の平地から離れた北西部に位置しています。標高200メートル前後の低い山地を抜けると、掛川盆地が広がっています。また、遠州灘に面した浜野浦という港も近くにあります。この場所は中世には水軍の基地としても知られていました。

山自体は海抜132メートルで、周囲の地形と比べるとそれほど高くはないですが、急斜面が特長であり、曲輪の配置が巧みにされているため、守りが固い中世城郭となっています。石垣はなく、主に土塁を用いて防御を固め、掘割も設けられていました。現在でも、当時の曲輪の構造や土塁、掘割が確認できます。

市町が整備を行い、比較的容易に登れるようになっています。また、本丸の近くには、地域住民の出征を記念する碑が立ち、地元の人々にとってこの山の重要性を物語っています。

歴史

高天神城の築城には諸説がありますが、伝承によると治承・寿永の乱の際に築かれたとのこと。しかし、確かな記録や考古学的証拠はありません。最初の文献として、16世紀初頭に今川氏の家臣福島助春がこの地に駐屯したことが挙げられます。考古学的な発掘により、15世紀後半から16世紀初頭の陶器が出土しており、古くから重要な拠点であったことがうかがえます。

城は今川氏の支配下に置かれ、その後、小笠原氏が城代となりました。1560年の桶狭間の戦いの後、今川氏は滅亡し、高天神城は徳川家康と武田信玄の争いの舞台となります。1571年には武田信玄がこの城を攻撃し、1574年には武田勝頼が二ノ丸を陥落させましたが、すぐに城主は降伏します。

1580年には徳川家康の軍に攻撃され、ついに1581年に城は陥落を迎えます。この時、城主岡部元信は戦死し、城は廃城の運命をたどることとなります。高天神城の攻防戦は、武田勝頼の声望を大きく損なう結果となり、後の武田氏の衰退に影響を及ぼすことになります。

現在の高天神城

現在、高天神城の跡地は観光地として整備され、地元の人々や観光客に親しまれています。本丸周辺には、戦争や地域の歴史を学ぶための情報が整備されており、高天神社も残っているため、文化的な意義も深いです。この城を訪れることで、戦国時代の歴史に触れることができる貴重な体験が得られます。

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