高富駅

高富駅について

高富駅（たかとみえき）は、岐阜県岐阜市粟野東にかつて存在していた名古屋鉄道高富線の駅であり、現在は廃駅として知られています。この駅は長良軽便鉄道の路線開通時に設置され、近隣の交通の要所であったため、地域の発展に寄与していました。

歴史の背景

高富駅は1913年12月25日に開業しました。これは長良北町駅から高富駅までの路線開通と同日のことで、駅はこの路線の終着駅として機能していました。開業からわずか2年後の1915年、長良軽便鉄道に美濃電気軌道が接続し、両路線の間で直通運転が始まったことで、高富の交通の利便性が格段に向上しました。さらに1920年には、長良軽便鉄道が美濃電気鉄道に合併し、名前が高富線に変更されることとなりました。

駅舎の建設は1923年に完了し、その後も多くの利用者に親しまれていた高富駅ですが、1945年以降の自動車の普及に伴い、高富線の利用客は次第に減少していきました。そして、1960年4月22日に高富線全線が廃止されたことに伴い、残念ながら高富駅もその役割を終えました。

駅の構造と設備

高富駅は相対式の2面2線の乗り場を持ち、駅舎も併設されていました。乗客が利用するための待合室なども設置されており、地域の住民や通勤通学のニーズに応えていました。

乗客数の動向

高富駅は統計データにより、乗客数の推移が記録されていますが、その数は鉄道廃止前の1960年代に入ってから次第に減少していきました。これは、地域の交通事情の変化及び公共交通機関としての高富線の競争力の低下が主な要因とされています。

駅周辺の環境

駅の立地は岐阜市の北端にあり、向かい側には高富町（現在は山県市に合併）にある中心街が広がっていました。駅は旧高富街道に面しており、地域の主要な交通路としての役割を果たしていました。駅から東へ約300メートルの位置には大龍寺があり、観光スポットとしても知られていました。

廃止後の変遷

高富駅が廃駅となった後は、バスへと交通手段が切り替えられました。駅跡地は名鉄岐阜自動車営業所および高富バス停となり、一時はバスターミナルとして使用されました。しかし、名鉄岐阜自動車営業所の移転や高富バス停の移動に伴い、駅の跡地はバスターミナルとしての機能を失い、高富大竜寺バス停としてのバスの回転所に際し、2004年には名鉄バス高富線が岐阜バスに移管されると、さらに利用が減少しました。そして現在、このエリアには住宅が建ち並び、当時の面影は残っていません。

高富駅は、地域の歴史と鉄道の変遷を象徴する場所として、今もなお周辺の人々に記憶されています。

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