高實康稔

高實 康稔（たかざね やすのり）

高實康稔は、1939年10月26日に生まれ、2017年4月7日に死去した日本のフランス文学者です。彼は長崎大学の名誉教授として知られ、フランス文学や異文化交流論の分野で多大な貢献をしました。また、強制動員の真相を究明するネットワークの呼びかけ人でもありました。

略歴

山口市で生まれた高實は、1969年に九州大学大学院文学研究科の博士課程を中退し、長崎大学の教養部にフランス語の講師として赴任しました。その後、1971年にはフランス政府の招聘によりポー大学とグルノーブル大学に留学し、さらに私費でパリ大学に延長留学しました。1972年に帰国後、1993年には同大学の教授に就任しました。

彼は1995年に、有志と共に「岡まさはる記念長崎平和資料館」を設立し、1997年からは教養部が改組された際に新設された環境科学部で教授を務めました。2005年には定年退職し、以降は「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」の会長や収蔵館の理事長として活躍しました。2006年には、フランス政府から教育への功労を称えられ、シュヴァリエの称号を受けました。

高實は2017年に心不全により亡くなりました。

人物

高實康稔は日本の近代思想や歴史について鋭い視点を持ち、特に吉田松陰と松下村塾に対して批判的でした。2016年には論文「長崎と朝鮮人強制連行」を発表し、近代日本の侵略思想の原点は吉田松陰と福沢諭吉の思想にあると指摘しました。この論文の中で、松下村塾を世界文化遺産にすることは、侵略思想を肯定することに他ならないと強く主張し、ユネスコが持つ本来の使命に対しても反し、重大な過ちだとしました。また、歴史を教訓とするべき「負の遺産」として松下村塾を位置づけることの重要性を提唱しました。

著書

高實の著書としては、1996年に「韓国・朝鮮人被爆者と強制連行」を岡まさはる記念長崎平和資料館から出版し、共著として「8ケ国語訳「世界の人へ」: 朝鮮人被爆者の記録」等があり、朝鮮人被爆者の真実に迫った内容が展開されています。また、翻訳業にも関与し、「日本の想い出」や「自然が滅びぬうちに」といった作品も手掛けました。

参考文献

彼についてさらに詳しい情報が知りたい場合は、長崎大学の広報誌やその他の講座資料にも触れると良いでしょう。特に、韓国・朝鮮人被爆者問題を考えるための資料には、彼の考えや取り組みに関する詳細が記載されています。

関連項目

高實康稔の活動は、長崎市への原子爆弾投下や在日韓国・朝鮮人の歴史とも深く結びついています。彼の遺した業績は、今後の研究や人権活動においても大きな影響を与え続けるでしょう。また、岡まさはる記念長崎平和資料館に関する情報は、ポータルサイトやアーカイブを通じてアクセス可能です。

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