高屋神社 (観音寺市)

高屋神社：天空の鳥居と歴史の重み

香川県観音寺市に位置する高屋神社は、標高404メートルの稲積山の山頂に鎮座する由緒ある神社です。近年では『天空の鳥居』として広く知られるようになり、全国各地から多くの参拝客や観光客が訪れています。その圧倒的な景観は、四国八十八景にも選定されているほどです。

歴史と信仰

高屋神社は、延喜式内社の中でも讃岐国に存在する24社の1つに数えられています。平安時代の『延喜式神名帳』には「讃岐国刈田郡高屋神社」として記載されており、古くから人々の信仰を集めてきたことが伺えます。「稲積神社」や「稲積さん」といった呼び名でも親しまれており、地元住民にとって重要な存在であると言えるでしょう。

創建当初は山頂に位置していましたが、17世紀頃には山腹へ、さらに18世紀頃には山麓へと遷座されました。しかし、里人は祟りを恐れたため、1831年に再び山頂の旧地に本殿が造営されました。この歴史的経緯からも、神社が人々の生活に深く根付いている様子が分かります。

祀られる神々

高屋神社では、以下の神々が祀られています。

邇邇杵命（ニニギノミコト）： 天照大御神の孫神であり、皇祖神の一柱として崇敬されています。
咲夜比売命（サクヤヒメノミコト）： 大山津見神の娘神で、邇邇杵命の妻神です。
* 保食命（ウケモチノミコト）： 食物の神として知られ、五穀豊穣や子孫繁栄を司る神です。


これらの神々は、古来より人々の生活や自然と深く結びついており、高屋神社の信仰の根幹をなしています。

アクセスと境内

本宮へは、麓の県道から約6キロメートル続く林道を利用できます。平成21年には神社まで林道が開通し、駐車場から徒歩で約150メートル進むと到着します。また、古くからの参道である、下宮から中の宮を経由する17丁の登拝道も存在します。石段の中央には「ゆるぎ岩」と呼ばれる巨岩があり、その存在感も参拝客の印象に残るでしょう。

山頂からは、北側の仁尾方面を一望できる展望所があり、瀬戸内海の美しい景色を堪能できます。本宮以外にも、中の宮、下宮があり、それぞれに特徴があります。中の宮は現在、鳥居と石の祠のみが残っていますが、かつては重要な役割を果たしていたと考えられます。下宮は、春にはちょうさ祭り（太鼓台祭り）が開催され、地域住民の信仰と一体となった活気ある様子が伺えます。下宮には無料の駐車場も完備されており、参拝客にとってアクセスしやすい環境が整えられています。下宮から中稲積の石柱門までの参道は桜並木となっており、春には美しい桜並木を眺めながら参拝できます。

高屋神社は、歴史、信仰、そして絶景と、多くの魅力を兼ね備えた神社です。天空の鳥居をくぐり、神々しい雰囲気の中で、古くからの信仰と自然の壮大さを体感できる場所と言えるでしょう。

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