高平拓弥

高平 拓弥（たかひら たくや）

日本のラグビー界において、フルバックとしてその名を刻んだ高平拓弥選手は、1990年10月17日に大阪府大阪市に生を受けました。彼のラグビー人生は、生まれ故郷である大阪から始まり、やがて国内最高峰の舞台へと繋がっていきます。身長177cm、体重85kgという体躯で、フィールドの最後尾を司るフルバックのポジションを務めました。フルバックは、相手の攻撃の最終局面で防御の要となると同時に、自陣深くからのカウンターアタックの起点となる、戦術上非常に重要な役割を担います。高平選手は、このポジションで持ち前の能力を遺憾なく発揮しました。愛称は「スマイリー」、そして「たかぺー」。その親しみやすいニックネームは、彼の人間性を表しているかのようです。

学生時代、高平選手はまず地元の浪速高校でラグビーに打ち込み、基礎技術と戦術理解を深めました。高校での活躍を経て、さらなる高みを目指し、2009年にラグビー強豪校として知られる東海大学へと進学します。大学ラグビーの世界は高校とは比べ物にならないレベルの高さでしたが、高平選手はすぐに順応し、チームの中心選手の一人として頭角を現しました。大学在学中には、将来の日本代表候補となる若手有望株が集まるU20日本代表候補にも選出されるなど、その才能と将来性を高く評価されました。東海大学での4年間は、技術面はもちろんのこと、フィジカルやメンタル面においても大きく成長を遂げた重要な期間でした。厳しい練習と実戦経験を通じて、プロのラグビー選手として必要な能力を磨き上げ、2013年に無事卒業を迎えます。

大学での輝かしい実績を引っ提げ、高平選手はプロの世界へと挑戦します。卒業と同年の2013年、当時のジャパンラグビートップリーグに所属するリコーブラックラムズに加入し、プロキャリアをスタートさせました。リコーブラックラムズは、国内屈指の強豪チームの一つであり、タレント揃いの高い競争環境でした。そのような中で、高平選手は自身の存在感を示し、チームに貢献するべく日々努力を重ねました。トップリーグという国内最高峰のリーグでプレーすることは、多くのラグビー選手にとって目標であり、そこで活躍することは容易ではありません。高平選手は、チーム加入後間もない時期に、記念すべきトップリーグ公式戦初出場の機会を得ます。それは、2013年8月31日に行われたシーズン開幕戦、コカ・コーラウエストレッドスパークスとの一戦でした。この試合に途中出場ながらも、高平選手は国内最高峰リーグの舞台で確かな一歩を踏み出し、プロ選手としてのキャリアを本格的にスタートさせました。

リコーブラックラムズでは、フルバックとして最終ラインからのアタック参加や、相手のキック処理、そして最後の砦としての守備など、多岐にわたる重要な役割を担いました。広い視野と正確な判断力でチームのピンチを救い、また、持ち前のスピードとステップ、そして正確なキックを武器に、攻撃面でも多くのチャンスを演出しました。トップリーグの舞台で数々の試合に出場し、経験を重ねるごとに選手として成長していきました。常に前向きな姿勢でチームに貢献し、ファンからも愛される存在となりました。リコーブラックラムズの一員として約7シーズンにわたりプレーを続けましたが、2020年に同チームを退団。プロラグビー選手としてのキャリアにおける一つの区切りを迎えました。大阪で生まれ育ち、学生時代に全国レベルでの経験を積み、そして国内最高峰のリーグで長年活躍した高平拓弥選手は、多くのラグビーファンに記憶される選手の一人です。

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