高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

高年齢者雇用安定法（高年齢者等の雇用の安定等に関する法律）

高年齢者雇用安定法は、日本の高齢者（55歳以上）の雇用を安定させることを目的とした法律です。1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として成立し、1986年には現在の名称に改称されました。この法律は、定年制を直接規制する初めての法令として位置づけられています。

1. 目的

この法律は、高年齢者の安定した雇用確保を促進するため、定年の引き上げや継続雇用制度の導入など、さまざまな措置を講じています。新たな雇用機会の創出や再就職の推進も兼ね備え、経済や社会全体の発展にも寄与することを目指しています。

2. 法律の構成

この法律は、複数の章に分かれています。

• - 総則（第1章）: 法律の基本的な理念を定めています。
• - 定年の引上げと継続雇用制度の導入（第2章）: 高年齢者の雇用の確保について具体的な方針を示しています。
• - 再就職の促進（第3章）: 国や事業主による再就職支援の方策が述べられています。
• - 地域の実情に基づく就業機会確保（第4章）: 地域特有の雇用問題に対処するための取り組みを定めます。
• - 定年退職者への就業機会の確保（第5章）: 定年退職後の高年齢者への支援が詳述されています。
• - シルバー人材センター（第6章）: 高年齢者の雇用支援機関に関する規定があります。
• - 国の援助など（第7章）: 法律の実施に向けた国の役割について述べられています。
• - 雑則（第8章）: 適用や罰則に関する事項が記載されています。

3. 定義と特定地域

この法律では「高年齢者」を、厚生労働省が定めた年齢（現在は55歳以上）と定義しています。また、特定地域についても、失業者の状況に応じて指定されています。

4. 国と地方団体の役割

国や地方公共団体は、高年齢者の再就職を促進するために必要な支援を行い、多様な雇用機会の創出を目指します。厚生労働大臣は、職業安定対策基本方針を策定し、関係者と協力しながら円滑な施策実施に努めます。

5. シルバー人材センター

シルバー人材センターは、高年齢者が地域社会で活躍できる場を提供し、就業の機会を確保するために重要な役割を果たしています。これらのセンターは、年齢に制約されない雇用環境の整備を目指しています。

6. 最近の法改正

2013年の改正では、希望者全員に対する65歳までの継続雇用制度が企業に義務付けられ、2021年の改正では、70歳までの就業確保が企業に努力義務として求められています。このような法改正は、高年齢者の労働市場への参入を促し、雇用機会の平等を目指しています。

こうした法律と制度により、高年齢者がその意欲と能力に応じて活躍できる環境が整備されつつあり、全体として社会の福祉の向上に寄与することが期待されています。

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