高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度について

高度プロフェッショナル制度（高プロ）は、2019年4月に施行された新たな労働制度であり、高度な専門的知識を持ち、一定の年収を超える労働者を対象としています。具体的には、労働基準法に定められた労働時間や休憩、休日、深夜の割増[[賃金]]に関する規定が適用されない仕組みです。ただし、年次有給休暇の適用は一般の労働者と同様に守られます。

導入の背景

この制度の背景には、日本の労働市場における労働時間の長さと生産性の関連問題があります。2007年、当時の安倍内閣は「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」の導入を検討しましたが、過労死の懸念から法案は廃案となりました。その後、2014年に策定された「新たな働き方」の提案により、現行の高度プロフェッショナル制度が生まれることになりました。

制度導入のための法案が2015年に国会に提出されるも、同年9月には審議未了となり、遅々として進まなかったものの、2018年になり再度法案が成立し、2019年4月から施行されました。

制度の概要

対象者

この制度の対象者は、高度な専門知識を持ち、明確な職務範囲が定められた労働者です。具体的には、年収が基準年間平均給与額の3倍に相当する1075万円以上であることが必要です。また、調査や分析、研究開発などの特定の業務に従事していることが求められます。年少者（18歳未満）はこの制度の対象外とされています。

労使委員会の役割

制度の実施には、労使委員会による決議が必要です。この委員会で5分の4以上の賛成が得られた場合、労働基準法に関連する規定が適用されなくなります。決議が採択されると、使用者は行政にその結果を届け出る必要があります。

健康管理と休暇

制度では、対象労働者の健康管理が重視されています。健康管理時間が40時間を超える場合、医師による面接指導が義務付けられています。また、年間104日以上、かつ4週間で4日以上の休日が付与されることも求められます。

適用業務

対象となる業務は、金融工学、資産運用、コンサルタント業務、新技術の研究開発などで、高度な専門知識が必要とされます。また、業務に対しては具体的な指示があってはならず、時間と成果の関連が名目上高くない業務が対象です。

健康管理と指導

健康管理については、労働者の勤務時間を明確に把握し、必要に応じて適切な措置が講じられます。具体的には、事業内での健康管理時間の把握方法が定められ、健康が害されることのないように考慮されています。さらに、産業医が労働者の健康状態を把握し、適切な指導を行う必要があります。

結論

高度プロフェッショナル制度は、労働者の専門性を重視し、働き方の新しい形を提供することを目的としていますが、不当な長時間労働を助長しないような仕組みが整えられています。制度が持つ意義と問題点を理解することが、今後の日本の労働環境において重要です。

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