高木敏子

高木敏子（1932年生まれ）は、日本の童話作家として広く知られています。東京で生まれ育ち、戦時中はガラス工芸品製造工場を営む家庭環境の中で、幼少期を過ごしました。文化学院卒業後、旧姓江井から高木と改姓。現在は千葉県千葉市美浜区に在住です。

高木敏子氏の代表作である『ガラスのうさぎ』は、小学6年生だった自身の戦争体験を赤裸々に描いた作品です。1978年には厚生省児童福祉文化奨励賞（現：児童福祉文化賞）、1979年には日本ジャーナリスト会議奨励賞を受賞するなど、高い評価を受けました。2005年にはエイボン女性大賞も受賞しています。

『ガラスのうさぎ』は、戦争を知らない子どもたちにも平和と命の尊さを伝えたいという強い願いから執筆されました。発刊以来、ロングセラーとして愛され続け、現在までに旧版・新版・文庫版を含め、220万部を超えるベストセラーとなっています。その感動的な物語は、英語、ハンガリー語など9ヶ国語に翻訳され、仏語、ポルトガル語、アラビア語への翻訳も進行中です。さらに、実写映画、テレビドラマ、アニメ映画化もされており、幅広い世代にその名を知らしめています。

高木氏は、日本が再び戦争の道を歩むことを危惧し、1986年には『もういや「お国のために」には　―ガラスのうさぎを溶かさないで―』（岩波ブックレット）を出版しました。この作品は、『ガラスのうさぎ』が持つ平和へのメッセージをより強く訴えかけるものとなっています。

作家活動と並行して、高木氏は戦争体験を語る講演活動を1000回以上も続けました。自身の体験に基づいた力強いメッセージは、多くの聴衆の心に深く響きました。しかし、高齢と健康状態の悪化を理由に、2007年8月1日、『ラストメッセージ ガラスのうさぎとともに生きて』（メディアパル）をもって講演活動を終了しました。

それでもなお、平和への想いは消えることなく、2011年8月5日には神奈川県二宮町で「ガラスのうさぎ像平和と友情のつどい」に出席し、戦争の記憶を後世に伝え、平和を願う活動を続けました。

高木敏子氏の作品は、『ガラスのうさぎ』、『めぐりあい』、『けんちゃんとトシせんせい』などがあります。これらの作品は、子どもたちの心に優しく寄り添い、大切なことを教えてくれる、温かい物語です。また、『ガラスのうさぎ』の軌跡をたどる関連図書『ガラスのうさぎ』：未来への伝言　平和の語り部　高木敏子の軌跡　DVD付（金の星社）も出版されています。

高木敏子氏は、自身の戦争体験を基に、平和へのメッセージを伝え続ける、偉大な作家です。彼女の作品は、これからも多くの人々に読み継がれ、平和への願いを繋いでいくでしょう。

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