高木貞二

高木貞二について

高木貞二（たかぎ さだじ、1893年12月3日 - 1975年10月28日）は、日本の実験心理学および動物心理学の研究において多大な貢献を果たした学者です。彼は東京大学の名誉教授として、また多くの教育機関での活動を通じて心理学の発展に寄与しました。

来歴

高木は大阪市に生まれました。旧制天王寺中学と旧制第一高等学校を経て、1918年に東京帝国大学文学部哲学科に進学し、心理学専攻を修了しました。そして、1919年から1921年にかけてアメリカのコーネル大学に留学し、国際的な視野を広げました。帰国後は、1922年に第三高等学校の教授に就任し、その後、京都帝国大学や東京帝国大学での講義や職務を通じて教育界での地位を確立しました。

1943年には東京帝国大学文学部で教授に昇進し、戦後も同大学で活躍しました。1947年から1950年まで文学部長、1949年から1952年まで教育学部長を務め、1950年から1953年には附属図書館長、1952年から1954年には教養学部長を経て定年退官しました。その後は東京女子大学の学長を1964年まで務め、1965年から1969年にかけて財団法人能力開発研究所の初代所長も努めました。高木はまた、1969年から1971年にかけて雇用促進事業団の職業研究所所長を務めるなど、多岐にわたる職務に従事しました。1958年からは日本学士院の会員、1965年には日本心理学会の名誉会員に選ばれました。彼は生涯を通じて教育と研究に情熱を注ぎました。

業績

高木貞二はゲシュタルト心理学の導入によって科学的心理学の確立に影響を与えました。特に「ヤマガラの知覚」に関する研究が知られており、動物の認知や知覚に関する貴重な洞察を提供しました。また、彼の研究は、心理学の理論的基盤の強化や新しい視点をもたらしました。

著作

高木の著作は多岐にわたります。主な著書には、1921年に発表した『律的動作の研究』や、1949年の『現代心理学の展開』、1955年の『心理学における数量化の研究』などがあります。さらに、彼は心理学研究法に関する専門的な書籍も執筆し、多くの研究者に影響を与えました。

また、彼は数多くの論文も発表しており、心理学の各分野における重要なテーマを取り上げています。例えば、彼の1922年の論文「ブレンタノーとヴント 経験心理学と実験心理学」や、狭義の概念の廃棄についての考察を行った1926年の論文があります。

私生活

高木貞二の実父は高木貞衛という人で、元萬年社の社長を勤めていました。高木はキリスト教徒としても知られ、彼の宗教的信念が研究や教育に影響を与えたと考えられています。

まとめ

高木貞二は、日本の心理学において重要な役割を果たし、その研究や著作を通じて多くの後進に影響を与えました。彼の業績は単に学問の枠を超え、多くの分野において人々の思考や行動に影響を与える源となっています。

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