高柳泰世

高柳泰世の業績と影響

高柳 泰世（たかやなぎ やすよ、1931年生まれ）は、静岡県出身の日本の著名な眼科医です。名古屋大学の非常勤講師や藤田医科大学公衆衛生学の客員教授を務めており、現在も活躍を続けています。彼は、1980年代から色覚異常に関する社会的不公平や差別の撤廃に尽力しており、特に学校における色覚検査の見直しと、それに伴う入学や就職に関する規制の撤廃運動を展開してきました。彼の努力により、色覚異常の人々が社会で平等に参加するための環境が整いつつあります。

色覚異常に対する取り組み

高柳は、学校における色覚検査のあり方や名称の変更について新たな提案を行い、差別や誤解を解消するための検討を進めてきました。彼はその活動が評価され、2013年には紺綬褒章を受章しています。

法律改正への貢献

彼の啓発活動は法改正にも寄与しており、特に1996年に彼が著した『つくられた障害「色盲」』は、1993年に設立された「日本色覚差別撤廃の会」とも連携し、以下の法律改正に影響を与えました。
1. 労働安全衛生法改正（2001年施行）
厚生労働省によって、民間企業の雇用時に行う色覚検査が廃止され、職場での色分け表示に加え、形状や文字による識別方法が求められるようになりました。
2. 学校保健法改正（2003年度実施）
文部科学省は定期健康診断から色覚検査を除外し、もはや強制的な検査は行われないようになりました。
3. 船舶職員及び小型船舶操縦者法改正（2004年）
国土交通省は小型船舶免許を取得する際の条件を見直し、従来の眼科的検査を廃止しました。

これらの改正を通じて、色覚異常者に対する障壁を大きく取り除くことに成功しました。公務員に関しても少しずつ改善が進み、特に警察官の規制は大幅に緩和され、全都道府県において制限が廃止されました。

新たな色覚検査表の開発

1995年には、色彩学者の金子隆芳と共同でカラーメイトテスト（CMT）を開発しました。この新しい検査表は、従来の石原表よりも適切に色覚異常を評価する機能を持ち、名古屋市では2000年から全校での採用が決定されました。

高柳の経歴と受賞歴

1958年に名古屋大学医学部を卒業し、1960年には医学博士号を取得。その後、1973年に名古屋市で本郷眼科を開業し、子どもたちの視覚教育にも注力しました。彼の活動は多くの評価を受けており、数々の賞を受賞しています。その中には、1991年の日本医師会最高優功賞や1993年度朝日社会福祉賞、2011年の日本学校保健学会賞などがあります。特に彼の著書『つくられた障害「色盲」』は多くの影響を与えました。

まとめ

高柳泰世は、色覚異常者の権利保護と社会参加の推進のために多大なる貢献をしてきました。彼の活動は法律の改正や実際の教育現場での取り組みにも多く影響を与え、色覚異常者が平等な社会で生活できる基盤を築く上で重要な役割を果たしました。今後も彼の取り組みが評価され、継続されることを期待したいと思います。

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