高校三原則

高校三原則

高校三原則（こうこうさんげんそく）とは、第二次世界大戦終戦後の日本の教育改革において実施された、新たな高等学校教育の3つの基本的な原則を指します。これらは「小学区制」「総合制」「男女共学」で構成されています。これらの原則は、教育機会の平等を促進し、地域の特性を生かした教育の場を提供することを目指しました。

小学区制

小学区制は、地域の通学区域をできる限り小さく設定し、地域に住む進学希望者を無月謝で受け入れることを目的とした制度です。この制度の実施によって、多くの生徒が地元の学校へ進学できるようになることが期待されました。しかし、当初の設計段階では地域の具体的な事情が十分に考慮されておらず、反発を招くこともありました。また、伝統的な学府への進学を望む家庭の中には、中学卒業前に子供を別の地域に移す「越境入学」の事例も見受けられました。

多くの都道府県では、普通科だけでなく複数の通学先を持つ大学区制が採用され、法律により都道府県立高等学校は学区を設定することが義務付けられました。小学区制が完全に定着することはなく、他の制度が生まれるきっかけともなりました。21世紀に入ると、学区を撤廃して都道府県全体を一学区とする方針が取られるところも増えています。学費無料化は実現しませんでしたが、低所得層向けの学費免除制度や無利子の奨学金が導入されました。

総合制

総合制は、同一の学校内で普通科と専門学科を併設し、相互に学び合う環境を整えることを目的とした制度です。しかし、この制度は日本での普及が思うようには進みませんでした。特に旧制中学校や高等女学校を継承する形で、普通科と専門学科に分かれてしまい、後者は多くの中堅技術者や専門家を輩出しました。この制度が定着しなかったのは、アメリカの教育システムを模倣したものの、日本の事情には適していなかったためです。

男女共学

男女共学の原則は、旧制学校における男女間の格差を解消するために導入されました。多くの国公立高校でこの改定が実現したものの、一部の地域では男女別学が存続しました。例えば、北関東などでは21世紀に入っても男女別学の学校が残っていますが、最近では共学に移行する私立学校も増加しています。

経緯と影響

旧制学校が持っていた教育格差を是正し、誰もが教育を受ける権利を保障するために、戦後の学制改革では高校三原則に基づいた新制高校の設置が進められました。この政策は、アメリカの公立高校の制度を参考にしており、地域のニーズに応じた普及を目指していました。しかし、各地での入学試験や越境入学の影響などにより、制が常に順調に機能することはありませんでした。

このような背景の中、京都府では蜷川知事が堅実に高校三原則を守りつつも、同時に私立校の利用が横行し、地域の公立高校の存在感が薄れていくというアンバランスな状況も見受けられました。いずれにせよ、高校三原則は日本の教育制度において重要な役割を果たし、現在の高等学校教育の基礎となっています。

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