高根正昭

高根正昭（たかね まさあき）は、1931年6月1日に東京で生まれ、1982年9月2日に51歳でこの世を去った日本の社会学者です。

学歴と職歴

高根は1954年に学習院大学法学部政治学科を卒業後、アメリカに渡り、1965年にスタンフォード大学大学院コミュニケーション専攻修士課程を修了しました。さらに研究を深め、1972年にはカリフォルニア大学大学院社会学専攻博士課程を修了し、社会学博士の学位を取得しました。その後、カリフォルニア州立大学助教授を経て、帰国後は上智大学教授として教鞭を執りました。

研究活動

高根の研究は、社会学の多岐にわたる分野に及びました。特に、政治エリートの分析、社会学的方法論、そして知的競争社会の構造と影響に関する研究は、その後の社会学研究に大きな影響を与えました。

高根は、数量分析を用いた実証的な研究を重視し、客観的なデータに基づいて社会現象を解明しようと試みました。彼の研究は、日本の社会構造や政治動向を理解する上で重要な視点を提供しました。

著作

高根は、多くの著作を通じて、自身の研究成果を社会に広く発信しました。代表的な著作には、以下のようなものがあります。

『日本の政治エリート 近代化の数量分析』（中公新書, 1976年）：日本の政治エリートの構造を数量的に分析した先駆的な研究。
『創造の方法学』（講談社現代新書, 1979年）：社会学的な視点から創造性の本質に迫り、現代社会における創造の重要性を説いた。
『知的競争社会のすすめ』（東洋経済新報社, 1980年）：競争が社会の進歩を促進するという視点から、知的競争の必要性を提唱した。

また、佐伯彰一との共著『非行文化の時代 新しいライフスタイルの創造』（紀尾井書房, 1982年）では、若者の非行問題と新しいライフスタイルについて考察しました。

翻訳

高根は、海外の優れた社会学の研究成果を日本に紹介する翻訳活動にも積極的に取り組みました。主な翻訳書には、以下のようなものがあります。

エリック・ホッファー『大衆』（紀伊国屋書店, 1961年）
エリック・ホッファー『大衆運動』（紀伊国屋書店, 1969年、改題・度々再刊）
『未来のための知恵 ダニエル・ベル「あすを語る」』（訳編, 中日新聞東京本社・東京新聞出版局, 1977年）：ダニエル・ベルの社会学的な考察を紹介した。

その他

高根は、社会学の研究者としてだけでなく、社会評論家としても活躍し、当時の社会問題や文化現象について積極的に発言しました。その知的探求心と鋭い分析力は、多くの人々に影響を与えました。

死去

高根は1982年9月2日、直腸癌のため51歳という若さで亡くなりました。彼の早すぎる死は、社会学界にとって大きな損失となりました。

高根正昭は、社会学の研究と教育に尽力し、日本の社会学の発展に大きく貢献しました。その業績は、今日においても高く評価されています。

もう一度検索