高田ドブロク事件

高田ドブロク事件

高田ドブロク事件（たかだドブロクじけん）は、1949年（昭和24年）4月7日から4月11日にかけて、主に新潟県中頸城郡で発生した、密造酒の取締りをきっかけとした騒擾事件です。

事件の背景

事件の発端は、1948年秋頃、新潟県中頸城郡中郷村（現・上越市中郷区）と新井町（現・妙高市）の朝鮮人集落において、大規模な密造酒（ドブロクなど）が醸造されていることを地元警察が把握した。違法な密造酒は税収や品質管理の問題から取り締まり対象であり、警察当局は徹底的な摘発を計画。関係機関との連携で綿密な計画を練り、準備が整ったことから、摘発は1949年4月7日に実施された。

事件の経過

4月7日：取締りの開始と最初の抗議

1949年4月7日午前6時頃、取締部隊が対象の朝鮮人集落に到着し、一斉に摘発を開始した。早朝の実施であったためか、摘発は比較的平穏に進み、午前8時30分頃には部隊は現場を引き上げた。

その後、午前10時40分頃から高田市警察署前に集結。検挙者の即時釈放を要求したが警察は拒否。正午頃には約200人に膨れ上がり、投石で窓ガラス十数枚を損壊させた。

4月8日：続く集結と要求

翌8日も約200人が集結し検挙者釈放を要求、事態は膠着した。

4月9日：税務署での騒動

9日正午頃、税務署に来た女性に続き、女性14〜15人が集結し署長面会を要求。退去勧告に「人殺し」と叫び座り込み。午後1時には男性多数が駆けつけ突入を図り、小競り合いで双方に負傷者が出た。

4月10日：捜査の拡大

検挙者の自供で高田市での密造酒醸造も判明。10日、捜査拡大で在日朝鮮人連盟信越支部などを家宅捜索。

4月11日：デモ行進と事件の収束

11日、約500人が高田市に集結しデモ行進。「不当な弾圧」「高田市を灰にする」などと市民を威嚇。警察はデモ首謀者12人を検挙、事件は収束へ向かった。

この事件は、戦後混乱期の社会状況、在日朝鮮人を巡る問題、そして密造酒という経済的背景が複雑に絡み合った事例として記憶されています。

参考文献

新潟県警察史編さん委員会 編『新潟県警察史』1959年。

関連項目

密造酒
どぶろく
マッコリ
在日朝鮮人連盟
在日韓国・朝鮮人

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