高田事件

高田事件について

高田事件は、1883年3月20日に新潟県の高田・頸城地方（現在の上越市）で発生した、自由党員を狙った弾圧事件です。この事件は自由民権運動の高まりを背景にしており、多くの逮捕者が出たものの、その大部分が冤罪であったとされています。

背景

この事件の発端は、3月10日に富山県高岡瑞龍寺で行われた北陸七州有志懇談会にあります。この会議は、自由党員たちが自由民権運動を促進するためのもので、北陸地方における運動は最高潮に達しました。しかし、その熱気の中、わずか9日後の3月19日に、参加者の一人である長谷川三郎が警察に侮辱されたとして逮捕されます。

逮捕の経緯

長谷川の逮捕を契機に、翌日には彼の自白に基づいて加藤貞盟や八木原繁祉など、地方の自由党活動家20名以上が政府転覆の容疑で逮捕されました。しかし、驚くべきことに、長谷川の正体は新潟始審裁判所高田支庁の検事補・堀小太郎の部下であり、彼は実際にはスパイとして活動していました。このことは、彼が地元の自由党幹部に関する情報を収集し、計画的に逮捕へ繋がる行動をとったことを示しています。

この結果、5月までに自由党員やその支持者など合計37名が逮捕されました。しかし、政府の捜査そのものが見込み捜査であったため、証拠が見つからないまま、8月までに22名が不起訴となりました。さらに、加藤や八木原の自由党幹部12名も起訴されたものの、裁判においては証拠不足により免訴や釈放がなされ、実質的な無罪となる事態に至りました。

赤井景韶の事例

この中で特異なケースとして赤井景韶の事件が挙げられます。彼は前年の11月に井上平三郎や風間安太郎と共に「天誅党」と呼ばれる秘密結社を結成し、政府高官の暗殺計画を企てていました。この計画は具体的なものではありませんでしたが、赤井の自筆による趣意書が発見されたことから、彼らは国事犯として告発されました。井上と風間は証拠不十分により免訴となりましたが、赤井は自筆の文書を根拠に12月に重禁錮9年の判決を受けました。

その後、赤井は落ち着かない日々を送り、1884年3月に石川島監獄から脱獄し、逃走中に人力車の運転手を殺害しました。彼は9月に静岡県で逮捕され、1885年7月27日に殺人罪で絞首刑にされました。

結論

高田事件は、冤罪の逮捕が多くを占めており、政府による自由民権運動への弾圧が行われた一例として後に捏造が明らかになりました。この事件は、自由民権運動の立場から見ても、当局による過剰な捜査や革命の恐れが引き起こした悲劇的な出来事であったといえるでしょう。事件の詳細は、後の研究によってもっと明らかにされ、多くの歴史学者がこの事件を取り上げています。自由民権運動の重要な一環として、今もなお評価され続けています。

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