高田裕司 (レスリング選手)

高田裕司のプロフィール

高田裕司（たかだ ゆうじ、1954年2月17日生まれ）は、日本を代表するフリースタイルレスリング選手で、群馬県太田市出身です。彼は1976年のモントリオールオリンピックにおいて男子52kg級で金メダルを獲得し、日本のレスリング界における重要な人物です。高田は1970年代において、日本レスリングの第一人者として活躍しました。

学歴とキャリアの始まり

高田は日本体育大学を卒業し、その後レスリング選手としてのキャリアをスタートさせました。1975年、彼はソビエト連邦の選手たちとの対戦において、52kg級での圧倒的な強さを示しました。同選手権における全階級の選手が登場する中で、ソビエトチームの関係者は高田との対戦を避けるため、1ランクレベルの低い選手を用意したと言われています。

世界選手権とオリンピック

高田はレスリング世界選手権で4回優勝を果たしました。特に1979年には、1978年大会で敗れたアナトリー・ベログラゾフ（ソビエト連邦）に対して雪辱を果たしたことが評価されています。1976年のモントリオールオリンピックでは、彼の実力が証明され、金メダルを手にしました。

1980年のモスクワオリンピックに向けて、高田は日本オリンピック委員会（JOC）の「がんばれ!ニッポン」キャンペーンの一員として、テレビのCMに出演し、年に100回以上の講演活動を行いました。しかし、当時の彼が得られた報酬はわずかで、月に「栄養費」として3万円が支給されただけでした。

一方で、モスクワオリンピックはアメリカを中心としたボイコットの波の影響を受け、日本でも選手たちの参加を巡って議論が起こりました。1980年4月21日には「緊急強化コーチ選手会議」に出席し、「モスクワに行けなくなったら、誰が責任を取るのですか」と涙ながらに訴えましたが、JOCは5月24日に正式に不参加を決定しました。この際に高田は、「未来の選手たちには、このようなことが繰り返されてほしくない」とコメントしており、彼の思いが伝わる場面となりました。

現役復帰とその後のキャリア

高田は一旦引退し、日本体育大学の研究員を辞職後、群馬県で高校の教員となりますが、1984年に現役復帰を果たします。その年のロサンゼルスオリンピックでは銅メダルを獲得し、なおも活躍を続けました。この時、彼は表彰台で優勝していた場合、モスクワオリンピックの出場を果たしていなかった選手たちに対する思いからメダルを投げ捨てたい気持ちだったと述べています。その後、再び引退することになりますが、1990年の日本開催の世界選手権を目指して再度現役に復帰し、最終的には8位の成績で選手生活を終えました。

現在の活動と影響

引退後は山梨学院大学の教授やレスリング部の監督を務め、日本レスリング協会の専務理事として、レスリングの発展と普及に寄与しています。また、日本オリンピアンズ協会の監事も務め、2007年に設立された日本総合格闘技協会の理事長としても活躍しています。

主な成績

• - 1973年〜1980年：日本選手権フリースタイル52kg級で優勝
• - 1974年、1975年、1977年、1979年：世界選手権フリースタイル52kg級優勝
• - 1976年：モントリオールオリンピック金メダル
• - 1984年：ロサンゼルスオリンピック銅メダル

高田裕司は、厳しい競技の中で培った経験をもとに、後進の指導や日本のレスリング界の強化に尽力し続けています。その実績と人間性は、多くの選手にとっての模範となっています。

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