高砂火力発電所

高砂火力発電所

概要

兵庫県高砂市梅井に所在する電源開発（J-POWER）が運営する重要な発電施設です。
石炭を燃料とする火力発電所であり、日本の電力供給体制の一翼を担っています。
現在の設備による総出力は50万キロワットです。

沿革と立地

本発電所は、高度経済成長期さなかの1968年7月に1号機が、翌1969年1月には2号機がそれぞれ営業運転を開始しました。
当初の目的は、関西電力、中部電力、北陸電力といった主要な電力会社への電力供給を行う拠点を築くことにありました。

立地する高砂市の沿岸部には、隣接して関西電力の高砂変電所があり、ここから各方面へ送電線が伸びています。かつては本発電所の西隣に、石油を燃料とする関西電力の高砂発電所が存在していた時期もありました。

設備の老朽化と更新計画の変遷

運転開始から既に50年以上の歳月が経過しており、既存の1号機および2号機は設備の老朽化が進んでいます。
このため、高効率な最新技術を導入した新たな発電設備への更新計画が検討されていました。具体的には、以前関西電力高砂発電所があった敷地跡を活用し、定格出力60万キロワット級の「新1号機」と「新2号機」を建設する構想でした。

これらの計画設備は、従来の技術よりさらに高温・高圧の蒸気を用いる「超々臨界圧（USC）」方式を採用し、発電効率の向上と環境負荷の低減を目指すものだったのです。この更新計画が実現すれば、既設の1号機と2号機は順次廃止される予定でした。

しかしながら、近年の省エネルギー意識の高まりや産業構造の変化などにより、関西エリアにおける将来的な電力需要の伸びが当初の見込みを下回ると予測されたことから、この大規模な更新計画は2018年（平成30年）に実施が断念されることとなりました。

現在の発電設備詳細

現在稼働しているのは、1960年代後半に運転を開始した以下の2基です。

1号機
定格出力: 25万キロワット
使用燃料: 石炭
営業運転開始: 1968年7月1日
2号機
定格出力: 25万キロワット
使用燃料: 石炭
営業運転開始: 1969年1月18日

これらの合計により、総出力50万キロワットの能力を有しています。

発電電力の供給先

高砂火力発電所で生み出された電力は、主に他の電力会社へ供給されています。売電先の割合は以下のようになっています。

関西電力: 50%
中部電力: 40%
* 北陸電力: 10%

これにより、近畿地方をはじめとする広範囲の電力需要を支える役割を担っています。

地域社会との交流

電源開発高砂火力発電所は、地域社会との良好な関係構築にも努めています。毎年11月頃には「わくわく感謝デー」と称する一般公開イベントを開催しています。

このイベントでは、普段見ることのできない発電所の施設見学ツアーや、子供から大人まで楽しめるキャラクターショー、模擬店、ミニゲームコーナーなどが設けられ、多くの地域住民が訪れます。開催日には、高砂市内各所から会場まで臨時のシャトルバスが運行されるなど、来場者の利便性にも配慮がなされています。

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