高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律（バリアフリー法）

概要

この法律は、平成18年6月21日に施行されたもので、高齢者や障害者などが自立した日常生活を送るために、公共交通機関や建物の利用を円滑化することを目的としています。法律はバリアフリーの実現を促進し、公共の福祉向上に寄与することを重視しています。通称「バリアフリー法」として知られています。

バリアフリー法の背景

日本が本格的な高齢化社会に突入する中で、高齢者や障害者の自立と社会参加を促すため、平成6年に制定された「ハートビル法」がその前身です。さらにその後、平成15年に法律が改正され、特定建築物のバリアフリー化が進められました。そして、平成18年にこれらの法律が統合され、バリアフリー法が施行されました。この法律では新たに特定道路や公園のバリアフリー化も規定されています。

法律の施行と改正

バリアフリー法は、特に高齢者や障害者に対して配慮された公共性のある建物を整備することを求めています。法律の施行後は、ユニバーサルデザインに基づいた万人が利用できる環境作りが求められるようになってきました。また、東京オリンピック・パラリンピックを見据え、平成30年と令和2年にも改正が行われ、バリアフリーマスタープランの制度の創設や公共交通機関のバリアフリー化に向けた義務が設けられました。

既存建物に関する適用

既存の建物に対してもこの法律の適用があり、建築確認を伴う増改築には適合努力義務が課せられています。これにより、特定建築物と特別特定建築物のそれぞれにおいて基準の遵守が求められます。

基準内容

法律では、2つの基準が設けられています。

1. 建築物移動等円滑化基準
これはバリアフリー化における最低限の基準です。特定建築物には努力義務があり、特別特定建築物には適合義務があります。
2. 建築物移動等円滑化誘導基準
こちらはバリアフリー化の望ましい基準とされ、適合義務はありませんが、基準を満たすことでインセンティブが得られます。

認定と特典

誘導基準を満たす建物は所管の行政庁から認定を受けることができ、認定による特典が受けられます。これには、バリアフリー工事費の低利融資や確認手数料の免除、税制上の優遇措置などが含まれます。

対象となる建築物

この法律の下では、特定建築物と特別特定建築物に分類され、学校、病院、劇場など、多様な公共施設がその対象となっています。建築主には、それぞれに応じた基準の適合が求められ、公共の場における移動の便利さが確保されるようになっています。

条例による拡大

また、地方公共団体は条例によりバリアフリー法の対象を拡大することが可能です。これにより、特定建築物を特別特定建築物として扱うことや、基準を地域の実情に応じて強化することができます。

まとめ

高齢者や障害者の社交的な参加を支援するためのこの法律は、社会全体の福祉を向上させるための重要な役割を果たしています。移動の円滑化を目指す取り組みは、今後もさらに進化し続けることでしょう。

もう一度検索