髙橋美清

髙橋 美清（たかはし びせい）

髙橋 美清氏は、1964年12月21日に群馬県伊勢崎市に生まれた、天台宗の僧侶であり、かつてはフリーアナウンサーとして活躍しました。アナウンサー時代には高橋 しげみ（たかはし しげみ）という名義で知られています。

アナウンサーから転身するまで

キャリアの初期はモデルとして活動していましたが、その後群馬テレビの県政番組のレポーターを務めるようになり、これを機にメディアの世界へと本格的に足を踏み入れます。次第に司会業へと活動の幅を広げ、日本テレビ系列の番組「おはよう天気」ではキャスターを担当しました。

1989年、髙橋氏は前橋競輪場での競輪中継に関わるようになります。これを皮切りに、全国各地で開催される競輪のテレビ中継においてメインキャスターとしてその名を馳せました。競輪界における彼女の存在は多くの視聴者に親しまれました。アナウンサーとしての活動と並行して、複数の大学や短期大学、専門学校で非常勤講師を務め、また「ミオ・クォーレ・フィニッシングアカデミー」の代表者兼講師として教育分野にも力を注いでいました。

仏門へ、そして歌手デビュー

多忙なキャリアを歩む中、髙橋氏の人生に大きな転機が訪れます。2011年8月、彼女は天台宗にて得度し、僧侶となりました。この際に授かった法名が「美清」です。アナウンサーとしての活動から一転、仏の道を歩む決意を固めました。

僧侶となった後も、表現者としての情熱は尽きませんでした。2014年には、北原 朱夏（きたはら しゅか）という新たな名義で歌手デビューを果たします。キングレコードからリリースされた楽曲「波に抱かれて」は、彼女の新たな才能を示すものでした。

困難を乗り越え、支援活動へ

しかし、順風満帆に見えた人生は、予期せぬ困難に見舞われます。過去に番組で共演した男性からのストーカー被害に遭い、この男性は2015年にストーカー規制法違反の疑いで逮捕されました。ところが、逮捕からわずか1ヶ月後に男性が事故死するという事態が発生します。この事件をきっかけに、髙橋氏に対する脅迫や根拠のない誹謗中傷が多発し、これにより長年続けてきたアナウンサーとしてのキャリアを終えざるを得なくなりました。

誹謗中傷に苦しむ中で、髙橋氏は加害者とされる人々との対峙を試みます。その際、彼らが謝罪よりも先に自身の弁明に終始する態度に触れ、この社会問題の根深さと深刻さを痛感したといいます。自身の経験を無駄にしないため、彼女は誹謗中傷被害の実態と自身の体験を広く伝え、啓発活動を行うことを決意しました。現在、大泉町の「SNS等被害者支援ネットワーク会議」の一員として、同様の苦しみを抱える人々の支援にも積極的に関わっています。

新たな寺院の建立

数々の困難を乗り越えた髙橋氏は、宗教家としても新たな一歩を踏み出します。2020年には、自身の出身地である群馬県伊勢崎市に、天台宗の新しい寺院「天台宗 照諦山 心月院 尋清寺」を建立しました。これは、アナウンサー、僧侶、歌手、そして困難な経験から生まれた支援者としての彼女の人生が集約された、新たな活動拠点となっています。

著作・楽曲

これまでの多岐にわたる活動は、複数の著作や楽曲という形でも結実しています。

著作
『高橋しげみの食べて歩いた競輪の街』（2004年、上毛新聞出版局）- アナウンサー時代の経験に基づく
『尼僧・美清のしあわせの「○」』（2018年、山中企画）- 僧侶としての視点から綴られたもの
ディスコグラフィ
* 北原朱夏名義シングルCD『波に抱かれて／待ちぼうけの風景〜冬がれの長い道〜』（キングレコード）

髙橋美清氏は、アナウンサーとして活躍した華やかな時代から、僧侶としての静謐な生活、そして誹謗中傷という試練を経て、現在は寺院の住職として、また被害者支援の活動家として、様々な立場で社会と関わり続けています。その波乱に富んだ人生は、多くの人々に希望と示唆を与えています。

（公式ホームページ）

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