髙野徹

髙野 徹（たかの とおる）について

髙野徹は、1962年生まれの日本の甲状腺専門医師であり、医学博士です。彼は、甲状腺がんの分子病理学に関する研究を主な専門分野としています。現在、りんくう総合医療センターの甲状腺センターのセンター長を務めるとともに、大阪大学で特任講師としても活動しています。

学歴と経歴

髙野医師は新潟県立佐渡高校を卒業後、東京大学の理学部天文学科に入学しました。その後、大阪大学医学部に転入し、最終的に同大学の大学院を修了しました。彼は大阪大学で講師職を務めた後、現在の役職へと進みました。彼は2017年から2019年まで、福島県県民健康調査検討委員会の委員としても活動しました。

研究業績

髙野医師は2000年に 芽細胞発がん説 を提唱しました。これは、甲状腺がんの発生母地が従来考えられている甲状腺濾胞上皮細胞ではなく、初期の発生段階に存在する幼弱な胎児性細胞であるとする理論です。彼の研究によると、この理論に基づく甲状腺がんの自然史モデルは、早期診断や早期治療が過剰診断につながる可能性を示唆しており、国際的に注目されています。

さらに、髙野医師は 幹細胞危機 に関する考え方も提唱しています。この理論では、悪性度の高い未分化がんの発生源が老化した幹細胞にあり、分化がんは未分化がんの一部が早期に分かれたものであるとされています。この主張は、最近の全エクソーム解析の結果とも一致しており、癌細胞の発生には幹細胞が重要であるという認識を強めています。

甲状腺超音波検査に対する見解

髙野医師は、無症状の若年層に対する甲状腺超音波検査の結果が、Self-limiting Cancer の検出につながることを指摘し、過剰診断を避ける必要があると主張しています。彼の意見は、患者にとって有害である可能性があるため、早期発見が必ずしも利益をもたらすとは限らないというものです。

主な論文と著作

髙野医師の研究成果は、多数の論文や著書として発表されています。代表的な論文には以下が含まれます：

• - Gene expression profiles in thyroid carcinomas (2000)
• - Fetal cell carcinogenesis of the thyroid: Theory and practice (2007)
• - Overdiagnosis of juvenile thyroid cancer: Time to consider self-limiting cancer (2020)

著書としては、2021年に発表された『福島の甲状腺検査と過剰診断－子どもたちのために何ができるかー』などがあり、甲状腺がんに関する認識を広めることに寄与しています。

結論

髙野徹医師は、甲状腺がん研究における重要な業績を持つ専門家であり、独自の視点から誤診や過剰診断を防ぐための努力を続けています。国内外の専門家との交流を通じて、今後の甲状腺がん研究の発展にも寄与することでしょう。

もう一度検索