鬼ごっこ!

『鬼ごっこ!』シリーズ：美少女ゲーム史に刻まれた一作

2011年3月31日、ALcotより発売された恋愛アドベンチャーゲーム『鬼ごっこ!』。その後、ファンディスクやPSPへの移植版もリリースされ、多くのプレイヤーを魅了しました。本記事では、この人気シリーズの詳細を多角的に解説します。

ゲームシステム

プレイヤーは主人公、浦部圭介の視点から物語を読み進めます。小説のような文章表現と、選択肢による分岐が特徴です。選択肢によって物語の展開が大きく変わり、４つの異なるエンディングが用意されています。全ルートを攻略するには、ゲームを複数回プレイする必要があります。クリア後には、ゲーム内のCGやBGMを鑑賞できる機能も解放されます。

世界観と設定

舞台は架空の島、美夜島。この島には、代々秘宝を守る使命を持つ浦部家と、3つの旧家（御三家）が存在します。浦部家は怪盗「温羅」として、秘宝の悪用を防ぐために活動しています。物語は、偽の温羅が現れたことから始まります。

美夜島には、1800年前に宇宙船が墜落したという歴史があります。宇宙船には、様々な能力を持つ秘宝が搭載されており、その秘宝をめぐる争いが、御三家、浦部家、そして土蜘蛛と呼ばれる勢力の間で繰り広げられてきました。主人公は、妹と共に、これらの秘宝を巡る事件に巻き込まれていきます。

ストーリー

主人公・圭介と妹・葵は、偽の温羅が現れたことを受け、美夜島に転入。美夜島学園で、御三家の少女たちと出会い、交流を深めていきます。

各ヒロインのルートでは、それぞれ異なる物語が展開します。

吉備津宮 灯ルート: 秘宝に関する暗号解読や、偽温羅との対決、灯の母親の病気と秘宝の使用をめぐる葛藤などを通して、圭介と灯の絆が深まります。
坂上 加奈ルート: 加奈の身に宿る鈴鹿の魂、そして偽温羅との戦い。圭介は加奈と鈴鹿、両方の女性に惹かれ、複雑な恋愛模様を繰り広げます。
住吉 暮葉ルート: 偽温羅として行動する暮葉の悲しい過去、借金問題、そして父親との再会。秘宝「打ち出の小槌」の誘惑と葛藤が描かれます。
西園寺 乙女ルート: 偽温羅による桃源郷の扉を開封しようとする試み、そして記憶喪失。圭介は乙女の記憶を取り戻し、桃源郷へと向かいます。
* ファンディスク: 本編で登場した4人のヒロインとの後日談に加え、主人公の妹・葵を主人公とした物語が収録されています。

開発・販売

『鬼ごっこ!』は、ALcotが制作。企画は空下元、ディレクターは時乃、シナリオは宮蔵、大三元、空下元が担当しました。キャラクターデザイン・原画は仁村有志と鳴海ゆう、音楽はElements Gardenが担当するなど、豪華なスタッフ陣が参加しています。PSP版『鬼ごっこ! Portable』では、アルケミストも制作に関わりました。

モチーフとキャラクターデザイン

ヒロインたちは、桃太郎、金太郎、一寸法師、乙姫などの童話・お伽話に登場する人物の子孫という設定です。それぞれのキャラクターデザインは、これらのモチーフを反映したものです。

音楽

『鬼ごっこ!』シリーズには、Elements Garden所属の作曲家が手がけた魅力的な楽曲が多数使用されています。オープニングテーマ、エンディングテーマ以外にも、作中のBGMが物語を盛り上げます。

販売状況と反響

『鬼ごっこ!』シリーズは、発売当初から高い人気を博し、複数の販売ランキングで上位にランクインしました。特に『鬼ごっこ! Portable』は、発売から年末までに7,567本を売り上げました。批評家からも、個性的なシナリオやキャラクター、テンポの良い展開などが評価されています。一方で、選択肢の少なさなどが指摘された点もあります。

まとめ

『鬼ごっこ!』シリーズは、魅力的なキャラクター、個性的な世界観、そしてテンポの良いシナリオが融合した、高い完成度を持つ恋愛アドベンチャーゲームです。童話モチーフを取り入れながらも、独自の世界観を構築している点が、本作の魅力と言えるでしょう。

もう一度検索