魅せられて (ジュディ・オングの曲)

エーゲ海のテーマ〜魅せられて

「エーゲ海のテーマ〜魅せられて」（中国語タイトル：愛的迷戀、英語タイトル：Love Is Calling Me）は、ジュディ・オングによる1979年のシングルで、日本の音楽シーンにおいて特に影響力のある楽曲の一つです。この曲はリリース以来、オリコンで123.5万枚のセールスを記録し、最終的には200万枚を超える売上を達成しました。

内容と背景

この楽曲は、エーゲ海の美しい風景をテーマにしており、歌詞には「エーゲ海」というフレーズが登場します。また、B面には「クレタ島の夜明け」という曲が収録されており、こちらも同様にエーゲ海の情景を描写しています。「魅せられて」は、広告キャンペーンの一環として制作され、特にワコールのCMで使用されました。このCMには、後にイタリアの国会議員となるポルノ女優・チッチョリーナが出演しており、映画『エーゲ海に捧ぐ』の映像が取り入れられています。

楽曲のプロデューサーである酒井政利は、CMソングを作る際に池田満寿夫と意気投合し、彼の旅の経験を基にこの楽曲の制作を進めました。作詞は阿木燿子、作曲は筒美京平によって完成されたこの楽曲は、大勢の候補の中から選ばれ、1979年1月には正式に曲名が「魅せられて」と決まりました。

パフォーマンスと衣装

ジュディ・オングは、この曲のパフォーマンス時には特別にデザインされた純白のドレスを着用します。このドレスは「スクリーンドレス」として知られ、エーゲ海の映像を映し出すために作られました。初めてこのドレスを披露した『ミュージックフェア』では、映像の準備が間に合わなかったため、バックからの光を利用した演出に切り替えた結果、大きな反響を呼びました。以後、このスタイルが彼女のトレードマークとなり、現在でも「魅せられて」を歌う際にはこの衣装が使用されています。特に、「スーパー魅せられて」と呼ばれるバージョンは、手首に芯を入れたデザインとなっており、よりドラマチックな演出が可能です。

ヒットと受賞歴

「魅せられて」は、1979年の音楽ランキングで9週連続1位を獲得し、年間シングルチャートでも第2位を記録しました。この成功は、当時の音楽シーンにおいて非常に大きな影響を与えました。そして、1979年の『第21回日本レコード大賞』では見事に大賞を受賞し、ジュディやソニーにとっての初めての栄誉ともなりました。

メディアでの影響

当時、TBS系のバラエティ番組『8時だヨ!全員集合』では、志村けんが「魅せられて」のイントロで登場するユニークなコントが人気を博し、視聴者に強い印象を残しました。志村は2020年に惜しまれつつ亡くなりましたが、ジュディは彼との思い出を語り、追悼の意を表しました。

また、この楽曲は1986年以降、ジュディ自身による様々なリメイクが行われ、そのたびに新しいファン層を獲得しています。さらに、英語バージョンや北京語バージョンも存在し、多国籍のファンに愛されています。

映画との関連性

この曲は映画『エーゲ海に捧ぐ』の主題歌ではありませんが、レコードの告知などでは「イメージソング」として取り上げられました。最終的に本曲は、映画には使用されませんでしたが、その関連性は今でも語られています。楽曲の副題が当初予定されていた「エーゲ海に捧ぐ」から現在の「エーゲ海のテーマ」に変更された経緯も興味深いものです。何度も再版が行われたこの曲は、今や日本の音楽史における名曲として広く認識されています。

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