魍魎の匣

概要

『魍魎の匣』は、日本の著名な作家・京極夏彦による長編の推理小説であり、百鬼夜行シリーズの第2作として位置付けられています。この作品は、1995年に発表され、第49回日本推理作家協会賞を受賞しました。また、2007年には映画化され、2008年にはテレビアニメとしても放送されました。

あらすじ

物語の舞台は1952年の日本。物語は、中央線での人身事故から始まります。この事故により、暗い性格の少女・楠本頼子と美少女の柚木加菜子が出会い、運命的な絆を築いていきます。突然の告白で互いが生まれ変わりであると主張する加菜子に心を開く頼子。しかし、事故が引き起こした悲劇により、加菜子は列車に轢かれて瀕死の状態に陥ります。

加菜子の父である柚木陽子は、彼女が救われるかもしれない場所を知っており、彼女は美馬坂近代医学研究所に運ばれます。事件が進むにつれ、加菜子の失踪や連続バラバラ殺人事件が発生し、関連する様々な人物が登場します。事件の裏には、京極堂と呼ばれる陰陽師が絡み、事態はさらに複雑化していきます。

登場人物

- 中禅寺秋彦:古本屋「京極堂」の主人であり、探偵役。陰陽師の家系に属し、事件解決に挑む。
- 関口巽:小説家で、中禅寺の親友。事件の核心に引き込まれていく。
- 榎木津礼二郎:私立探偵で、人の「見た光景」のみを見る特異な能力を持つ。
- 木場修太郎:警視庁の刑事で、美波絹子のファン。加菜子の事故をきっかけに事件に巻き込まれる。
- 鳥口守彦:雑誌の編集者で、連続殺人事件の調査を進める。
- 柚木加菜子:美少女であるが、複雑な家庭環境で育った少女。
- 柚木陽子:加菜子の母で、美波絹子として芸能界で活躍していた。

用語

- 武蔵野連続バラバラ事件:武蔵野地域で起こる、立て続けのバラバラ殺人事件。
- 穢れ封じ御筥様:新興宗教で、魍魎を封じ込める筥を信仰の対象とする。
- 美馬坂近代医学研究所:加菜子が入院した謎の研究所。人間の解剖や異常な実験が行われているとの噂がある。

結論

『魍魎の匣』は、京極夏彦特有の妖怪や陰陽道に基づく独特な世界観を持つ三人称視点の物語です。主人公たちが連続殺人事件を解決する過程で、彼らの過去や心理描写が丁寧に描かれ、物語全体に重厚感を与えています。また、作品は人間の内面的な闇や孤独をテーマにしながら、幻想的でありながらもリアルな要素を持つ作品となっています。

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