魔女の宅急便 (2014年の映画)

実写版『魔女の宅急便』：新たな物語と世界観

2014年公開の映画『魔女の宅急便』は、角野栄子の同名児童書を原作とした実写作品です。監督はホラー映画で知られる清水崇が務め、主演には当時16歳だった小芝風花が抜擢されました。スタジオジブリ制作のアニメ映画版が原作の1巻を基にしているのに対し、本作は1巻と2巻を基にしており、アニメ版とは異なる物語、世界観が展開されます。

制作の背景

実写映画化の噂は、制作発表以前から海外映画情報サイトで報じられていましたが、当初スタジオジブリは関与を否定しました。しかしその後、原作の刊行元である福音館書店が「お答えできない」と回答したことで、実写化の可能性が浮上しました。正式な制作発表では、清水崇監督と小芝風花主演が発表され、小芝にとっては本作が初主演作品となりました。

プロデューサーの森重晃は、清水監督の起用理由について、他の候補者と比較して作品に対するモチベーションの高さを評価したと語っています。また、ホラー映画でのVFX使用のセンスも評価された理由の一つです。プロデューサーの梅川治男は、清水監督が過去に手がけた映画のファンタジックなオープニングとエンディングが起用の決め手になったと述べています。清水監督自身は、アニメ版によって固定されたイメージがある中で実写版に挑戦することは「無謀」であるとしながらも、だからこそ挑戦したいと語っています。

キャスティングと撮影

キキ役には、500人以上が参加したオーディションを経て小芝風花が選ばれました。キャスティングに対してはインターネットを中心に議論が起こり、一部から批判的な意見も出ましたが、清水監督は最終的に小芝以外は考えられないと確信したと語っています。

撮影は、キキの実家などを東映東京撮影所でスタジオ撮影したほか、香川県の小豆島では地中海の雰囲気を再現したオープンセットでのロケーション撮影が行われました。原作者の角野栄子もロケ現場を訪れ、実写化について「いろいろなキキがあっていい」と述べ、実写版ならではの解釈に期待を寄せました。

キキのビジュアルは、清水監督のアイデアにより「野生児」っぽさをイメージした切りっぱなしの髪型が採用されました。角野は小芝について、「すごくかわいらしくてイメージ通り」と述べ、彼女の瞳の中に強い意志と憂いを感じたと語っています。また、小芝がスケートで鍛えた体を活かして、どのような飛び方を見せてくれるのかを楽しみにしていると述べました。

作品の特徴と設定

本作は、スタジオジブリのアニメ版とは異なる世界観が特徴です。アニメ版では「第二次世界大戦を経験しなかったヨーロッパの何処かの国」という設定でしたが、本作では「魔女の存在が信じられている東洋の何処かの国」という設定になっています。作中には日本語が多く登場するほか、日本人風の名前を持つ登場人物が登場しますが、舞台が日本であるとは明言されていません。

また、原作者の角野栄子が自らナレーションを担当していることも特徴の一つです。

公開と評価

日本公開では全国281スクリーンで封切られ、初週の動員ランキングで3位を記録しました。ファミリー層を中心に幅広い観客を集め、特に女児に訴求しました。海外配給も決定し、香港やシンガポールをはじめ、各国で上映されました。

小芝風花は、本作で第57回ブルーリボン賞新人賞、第24回日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞しました。

スタッフ

原作：角野栄子『魔女の宅急便』（角川文庫刊・福音館書店刊）
監督：清水崇
脚本：奥寺佐渡子、清水崇
音楽：岩代太郎
主題歌：倉木麻衣「Wake me up」
配給：東映

キャスト

小芝風花

まとめ

実写版『魔女の宅急便』は、アニメ版とは異なる新たな解釈と世界観で描かれた意欲作です。清水崇監督による独特な映像表現と、小芝風花のフレッシュな演技が見どころです。原作ファンはもちろん、新たなファンタジー作品を求める観客にも楽しめる作品と言えるでしょう。

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