魔法の代償

『ワンス・アポン・ア・タイム』シーズン1第4話「魔法の代償（The Price of Gold）」は、メイン州の架空の街、ストーリーブルックを舞台に、おとぎ話の登場人物たちが現代に生きる姿を描いたファンタジー・ドラマです。

このエピソードでは、エマ・スワンと、謎めいた男ルンペルシュティルツキン（ゴールド）の過去が、現代の出来事を通して明らかになります。エマは、妊娠中の若い女性アシュレイを助ける中で、アシュレイが実はおとぎの世界のシンデレラであること、そして彼女とルンペルシュティルツキンがかつて危険な契約を結んでいたことを知ります。

物語は、おとぎの世界でのシンデレラ（エラ）とルンペルシュティルツキンの出会いをフラッシュバックで描きます。願いを叶える代わりに、ルンペルシュティルツキンはエラに契約書への署名を迫り、魔法の力を与えますが、それは大きな代償を伴うものでした。結婚式を挙げたエラは、ルンペルシュティルツキンから最初の子供を要求されます。この契約を阻止しようと、エラの夫や仲間たちは策を練りますが、ルンペルシュティルツキンは巧みにエラの弱みにつけ込み、最終的に契約は成立します。しかし、ブルーフェアリーの策略により、ルンペルシュティルツキンは力を失い、捕らえられます。その後、エラの夫は姿を消し、ルンペルシュティルツキンは、魔法の代償としてエラの夫を取り戻すためには元の契約を守らなければならないと告げます。

ストーリーブルックでは、エマは保安官代理の職をオファーされ、アシュレイの窮状を目の当たりにします。アシュレイはルンペルシュティルの契約書を盗み出し、混乱を招きます。エマはアシュレイを追跡し、出産に立ち会いますが、その後、ルンペルシュティルツキンが現れ、子供を奪おうとします。エマは、法的な問題をちらつかせながら、巧みにルンペルシュティルツキンと交渉し、子供を諦める代わりに、彼自身の要求を受け入れることで取引を成立させます。そして、エマは保安官代理の職を引き受けます。

このエピソードでは、デヴィッド・H・グッドマンによる脚本、デヴィッド・ソロモンによる監督により、おとぎ話と現実世界の物語が巧みに絡み合っています。ジェシー・シュラム演じるシンデレラは、伝統的なおとぎ話とは異なる、複雑で繊細なキャラクターとして描かれており、彼女自身の選択によって引き起こされる悲劇的な運命が、視聴者に強い印象を与えます。エマもまた、過去と現在の出来事を通して、彼女のキャラクターがより深く掘り下げられていきます。

「魔法の代償」は、約1133万人の視聴者数を記録し、同時間帯で2位を獲得するなど高い人気を博しました。批評家からも、ロバート・カーライルの演技や、おとぎ話とは異なる視点からの物語展開などが高く評価されています。一方で、ハッピーエンドに欠ける点や、メインストーリーのテンポについて指摘する声もありました。しかし、全体として、このエピソードは『ワンス・アポン・ア・タイム』シリーズの中でも記憶に残る名作の一つとして位置づけられています。様々な文化的要素や、他の作品へのオマージュなども散りばめられ、視聴者を飽きさせない工夫が凝らされています。特に、Lostシリーズへのオマージュは、ファンにとって興味深い点でしょう。

『ワンス・アポン・ア・タイム』の世界観を存分に味わえる、見応えのあるエピソードと言えるでしょう。

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