魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO

『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』作品解説

『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』は、2020年2月8日に公開された映画作品で、テレビシリーズ『魔進戦隊キラメイジャー』の前日譚として位置づけられています。この作品は、スーパー戦隊シリーズの映画イベント『スーパー戦隊MOVIEパーティー』の一環として上映されました。

概要

本作は、テレビシリーズの放送開始に先駆けて公開された劇場作品であり、テレビシリーズ第1話へと繋がる物語が展開されます。クリスタリア王国の滅亡と、キラメイレッドを除く4人の戦士がどのようにして選ばれ、戦士となるのか、その経緯が詳細に描かれています。物語の終盤には、先行販売された特典アイテム『赤いスポーツカー魔進』のイメージ映像が登場します。

ムビチケ前売券の購入特典として、動画配信サービス『MIRAIL』で視聴可能な『魔進戦隊キラメイジャー スペシャル映像』が配信され、その後、東映特撮ファンクラブでも映画本編が会員限定で最速配信されました。また、新型コロナウイルス感染症の影響でテレビシリーズの撮影が遅れた際には、テレビ放送の代替として、2020年5月17日に本作品が初めてテレビで放送されました。

制作の背景

監督を務めた山口恭平氏は、テレビシリーズの第1話と第2話のパイロット監督も兼任しており、映画とテレビシリーズの撮影はほぼ同時進行で行われました。しかし、仕上げの都合上、本作品が先に公開されることになりました。

物語の初期構想では、充瑠以外の4人が仲間になる経緯がテレビシリーズ第1話に盛り込まれる予定でしたが、尺の都合でカットされ、その部分が本作品に転用されました。脚本は荒川稔久氏のアイデアを基に、充瑠以外のメンバーを中心に再構築されています。最初の顔見せとして、各キャラクターの個性を際立たせるため、為朝のリーダーシップ、小夜の医療知識、瀬奈の運動能力など、一目でキャラクターが分かるように工夫されました。

また、本作品がなければ、クリスタリア王国のシーンはテレビシリーズの回想として後々描かれる予定でした。山口監督は、自身がテレビシリーズに参加した時点では、本作品の制作は決定していなかったと証言しています。

従来のスーパー戦隊シリーズでは、第1話で主人公以外のメンバーが既に揃っているのが一般的でしたが、本作品ではレッド以外の4人が先にキラメイジャーとなることで、物語に新たな展開が生まれました。充瑠を演じる小宮璃央さんも、本作品では変身こそしないものの、初めて本格的な芝居に挑戦し、その経験が後の演技に活かされたと述べています。

さらに、本作品は第1話を観ていない人でも理解できるよう配慮されています。ちなみに、レッド以外の4人をスカウトするシーンは、スーパー戦隊シリーズ『ジャッカー電撃隊』第1話のオマージュとなっています。

本作では、異文化との遭遇を描くため、マブシーナやオラディン、ガルザなどクリスタリア王国のシーンが多めに描かれています。本来、ヨドン軍はテレビシリーズ第1話で襲来する設定でしたが、アクションシーンのために、CGでベチャットを再現し登場させています。

ストーリー

宝石の国クリスタリアは、オラディン王が統治する美しい国でしたが、オラディンの弟ガルザの裏切りによって、ヨドンヘイムの侵攻を受け、国は滅亡してしまいます。生き残ったマブシーナ姫は、クリスタリアの秘宝キラメイストーンと共に、オラディン王の友人である博多南無鈴を頼り、ヨドン軍が次に侵攻すると考えられる地球へと向かいます。

博多南は、ヨドン軍の地球襲来に備え、キラメイジャーの変身アイテム「キラメイチェンジャー」を開発していました。マブシーナは、キラメイストーンと共鳴する強いキラメンタルを持つ戦士を探し始めます。彼女は、eスポーツ界のスター射水為朝、陸上選手の速見瀬奈、人気アクションスター押切時雨、天才外科医大治小夜をスカウトします。しかし、戦いとは無縁の彼らを巻き込むことに悩みます。初戦での4人の活躍に勇気をもらいながら、レッドキラメイストーンはまだ見ぬ相棒を探し続けていました。

一方、光ヶ峰高等学校の生徒である熱田充瑠は、クラスメイトの柿原瑞希に似顔絵を頼まれるのでした。

登場人物

柿原瑞希

充瑠のクラスメイトであり、絵ばかり描く充瑠をからかう存在です。彼女は、充瑠に自分の絵を描くように頼み、出来上がった絵を見て激怒します。テレビシリーズにも複数回登場し、裏表の激しい性格が特徴です。表向きは優等生ですが、裏では高圧的でずる賢い一面を見せます。ゲーマーである兄の影響で、射水為朝のファンです。

セッチャクザイ邪面の騒動を通して、キラメイジャーの正体と充瑠の純粋さを知った後は、自身のずる賢さを魅力と捉え、充瑠への小馬鹿にした態度を改めました。また、充瑠との交流を通じて、恋愛感情のようなものも抱くようになります。しかし、後にガルザによってベチャット化させられますが、ヨドン皇帝の敗北によって元に戻ります。当初は充瑠を名字で呼んでいましたが、物語終盤では名前で呼ぶようになりました。

テレビシリーズ終了後には、スピンオフ作品『ヨドンナ』『ヨドンナ2』で中心人物として登場します。演者の西葉瑞希さんと同姓同名であり、キャラクターはオーディション時に西葉さんのイメージを基に作られたとされています。当初は、充瑠のキラキラしていない様子を表現するために、意地悪な絡み方をするキャラクターとして作られましたが、充瑠自身はあまり気にしていません。

また、第42話では充瑠が一度死ぬという展開が決定していたため、その伏線として、充瑠の大好きな柿原を登場させたとも語られています。

プロデューサーの塚田英明氏は、『魔法戦隊マジレンジャー』の山崎さんのようなポジションをイメージしていたと語っています。当初、柿原の再登場はもっと早めに予定されていましたが、緊急事態宣言の影響で遅れてしまったとのことです。

西葉瑞希さんは、『キラメイジャー』のオーディションにも参加しており、5人には選ばれなかったものの、その演技力から、2次選考の段階で主人公のガールフレンドのような役割でオファーされたそうです。

キャスト

熱田充瑠 / キラメイレッド - 小宮璃央
射水為朝 / キラメイイエロー - 木原瑠生
速見瀬奈 / キラメイグリーン - 新條由芽
押切時雨 / キラメイブルー - 水石亜飛夢
大治小夜 / キラメイピンク - 工藤美桜
柿原瑞希 - 西葉瑞希
博多南無鈴 - 古坂大魔王
マブシーナ - 水瀬いのり（声）
ガルザ - 中村悠一（声）

スタッフ

監督 - 山口恭平
脚本 - 荒川稔久、下亜友美
音楽 - 松本淳一
アクション監督 - 福沢博文
特撮監督 - 佛田洋

映像ソフト化

2020年6月24日にBlu-rayとDVDが発売されました。スペシャル版には、本作品のメイキングDVDが同梱されています。

その他

劇中には、射水為朝がプレイするeスポーツの映像で『GOD EATER 3』が使用されています。また、速見瀬奈のウェアやシューズは『獣拳戦隊ゲキレンジャー』に登場するスクラッチ社製で、押切時雨の技名は映画『GOZEN-純恋の剣-』からのオマージュです。

スペシャルエンディングでは、博多南無鈴の背後に、ペン・りんご・パイナップルが映るシーンがあります。

外部リンク

公式ウェブサイト
東映による劇場版・現場レポート

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