魚雷発射管

魚雷発射管の概要

魚雷発射管は、艦艇から魚雷を発射するための装置であり、主に水上艦艇と潜水艦に搭載されています。この装置には、発射口が水面上にある水上発射管と、水面下にある水中発射管があります。構造は管状で、艦内に魚雷を装填し、一方の口から艦外に向けて発射します。

魚雷発射管の役割と重要性

魚雷発射管は、水上艦艇や潜水艦において魚雷の発射およびそれを可能にする弾庫の役割を果たします。また、狭い水域において防衛を行うために、陸上に設置される例も見受けられます。航空機や水上艦艇が魚雷を発射する際には、水中に投下すれば十分ですが、潜水艦では水中で艦内への水の侵入を防ぎつつ物体を外に放出する必要があります。

水上艦艇では、第二次世界大戦以前には多くの艦種に水中発射管が装備されていましたが、現代の艦艇においてはその数は少なくなっています。

潜水艦における魚雷発射管の構造

潜水艦における魚雷発射管は、最も重要な装置の一つとして位置付けられており、その構造は複雑です。水中で魚雷を発射する際には、艦内への水の侵入を防ぐことが大きな課題です。魚雷を発射する前に、管内に水を注入して深度調整を行い、その後前扉を開いて圧搾空気で魚雷を押し出します。発射時には、艦内の空気が海面に浮上するため、艦の位置が露呈しないように回収されます。

また、自走発射式魚雷が存在し、発射管の設計は前方に向けられたものが主ですが、側方や後方に向けたものも過去には見られました。魚雷発射管は、潜航中の艦が外と接触する数少ない手段であり、魚雷以外にミサイルや機雷、センサーなどを発射するためにも使用されることがあります。

脱出方法としての魚雷発射管

興味深いことに、魚雷発射管は潜水艦乗員の脱出手段としても利用されています。アメリカのプランジャー級潜水艦ポーパスにおいて、1909年に乗員が自ら志願して魚雷発射管から脱出する実験が行われました。このように、各国の潜水艦では脱出手順が定められ、訓練が実施されています。

水上艦艇の魚雷発射管

水上艦に於ける魚雷発射管は、魚雷を発射するためだけでなく、魚雷を保護するための筐体としても重要な機能があります。発射方法は主に圧搾空気を使用し、初期の艦艇では射出装置を利用して魚雷を投下することが一般的でした。現代の艦艇では、主に水線上に発射管が配置され、特定の艦種には水中発射管が搭載されたものもあります。

魚雷は砲弾よりも炸薬量が大きく、弱い水線下に命中することで大きな効果を発揮します。特に、第二次世界大戦中には水雷戦が重視され、各種の発射管が開発されました。近年では、水上艦艇における魚雷発射管は、主に潜水艦攻撃に使用されるものがほとんどです。

日本の魚雷発射管の例

日本海軍では、数多くの魚雷発射管が開発されており、例えば六年式二連装発射管や八年式二連装発射管などの発射管が広く使用されていました。各時代によって発射管の設計や搭載方法が異なり、現代に至るまで多様な進化を遂げてきました。

このように、魚雷発射管は艦艇運用において不可欠な装置であり、その技術の進化は今後も続くでしょう。

もう一度検索