鯉江良二

鯉江良二について

鯉江良二（こいえ りょうじ、1938年7月27日 - 2020年8月6日）は、日本を代表する陶芸家であり現代美術家として、特に独創的な陶芸作品で知られています。愛知県常滑市に生まれ、幼少期から陶芸と深い関わりを持つことになりました。彼は14歳のときにアルバイトで事故に遭い、右手中指と薬指の第一関節を失いました。このハンディキャップは彼の人生に影響を与えたものの、彼自身は「制作には支障がなかったが、就職活動においては様々な苦労があった。この経験が僕の底力の源になっている」と語っています。

陶芸の道へ

鯉江は、常滑市立常滑中学校を卒業後、愛知県立常滑高等学校の窯業科を卒業し、日本タイルブロック社に入社しました。しかし、彼のキャリアはタイル工場の勤務後、常滑市立陶芸研究所での学びを経て、1966年に独立開窯することへ移行しました。彼の作品は、伝統的な陶芸技法にとらわれず、前衛的な発想が特徴となっています。

主な作品とテーマ

鯉江の代表作には「土に還る」シリーズがあります。このシリーズは、衛生陶器を粉砕したシェルベンと呼ばれる素材を用い、自身の顔の型で押し固めるという斬新な手法で作られており、釉薬を使わずに焼成されています。このアプローチは、彼の独自性を強調し、現代の陶芸に新たな風を吹き込むものとなりました。

また、反核をテーマにした「チェルノブイリシリーズ」なども、彼の重要な作品群の一部です。これらは、社会的・文化的なメッセージを持つ作品としても評価され、国内外の多くの展覧会に出品されています。

活躍の場と影響力

1969年には、大阪市営地下鉄動物園前駅の壁画を共同制作し、1970年には大阪万国博覧会において大型の陶製ベンチの製作に参加しました。また、1971年には愛知県知多市で「人間と場と時と行為と表現典」を企画し、彼の作品「土に帰る」を発表しました。

さらに、彼は1972年にイタリアのファエンツァ国際陶芸展に出品し、海外における存在感を強めました。その後も、アメリカ、韓国、スペインなどの国際展に参加し、国際的な評価を得るとともに、様々な国での講演やワークショップも行いました。

受賞歴と展示

鯉江は、多くの公募展での受賞歴や入選歴を持ち、1962年には「現代日本陶芸展」で入賞を果たしました。その後も、「日本陶磁協会賞」や「現代陶芸による国際的活躍」で中日文化賞など、数々の賞を受賞しています。また、東京国立近代美術館や京都国立近代美術館等に彼の作品が所蔵されています。

最後に

2020年8月6日、鯉江良二は咽頭癌により逝去しましたが、その作品や足跡は今も多くの人々に影響を与え続けています。彼の挑戦的かつ革新的な陶芸スタイルは、これからの世代においても引き継がれ、陶芸界における新しい可能性を切り拓くことでしょう。

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