鳥の歌 (カタルーニャ民謡)

鳥の歌：平和への願いを込めたカタルーニャの調べ

「鳥の歌」（カタルーニャ語：El Cant dels Ocells）は、スペインのカタルーニャ地方に古くから伝わるクリスマスの民謡です。この曲は、鳥たちがキリストの誕生を喜び祝う様子を歌った、美しくも心温まる旋律が特徴です。

しかし、この曲が世界的に知られるようになったのは、20世紀を代表するチェリスト、パブロ・カザルスによる編曲と演奏によるところが大きいと言えるでしょう。カザルスは、この民謡を自身のチェロ演奏のレパートリーに加え、独自の編曲を施しました。

カザルスの編曲は、イ短調を基調とし、4分の2拍子と4分の3拍子が混在する独特のリズムが用いられています。そのため、一般的な楽曲に比べてリズム感は比較的薄く、ゆったりとした、穏やかな印象を与えます。チェロとピアノ、または管弦楽のための2種類の編曲が存在し、いずれも比較的シンプルな二部形式で構成されています。

楽曲の構成は簡潔です。序奏はA-Eのトレモロで始まり、チェロの主旋律はE-A-H-C-D-E-Aの上昇音階で構成されています。この美しくも覚えやすい旋律は、聴く者の心を優しく包み込みます。そして、最後に序奏と同じトレモロが後奏として曲を静かに締めくくります。演奏時間は、8分音符が42拍/分前後のテンポで演奏される場合、約3分から4分程度となります。

カザルスは、1971年10月24日、国際連合本部で催された世界国際平和デーの演奏会において、「鳥の歌」をアンコールで演奏しました。この演奏は世界中に放送され、多くの人々の心に深い感動を与えました。演奏後、カザルスは平和を求めるメッセージとともに、「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は、peace、peaceと鳴くのです」と語ったと伝えられています。

このエピソードは、「鳥の歌」が単なるクリスマスキャロルを超えた、平和への願いを込めた象徴的な楽曲であることを示しています。穏やかなメロディーは、クリスマスの喜びだけでなく、世界平和への切なる願いを聴く者に伝えます。

今日でも「鳥の歌」は、世界中で愛され演奏されています。その優しい旋律と、平和へのメッセージは、時代を超えて人々の心を癒し、希望を与え続けるでしょう。クリスマスの時期はもちろんのこと、平和を希求する全ての人々の心に響く、永遠の名曲と言えるでしょう。

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