鳥取大火

鳥取大火について

鳥取大火（とっとりたいか）は、1952年の4月17日から18日にかけて、鳥取県鳥取市で発生した壊滅的な火災です。この火事は、戦後日本において焼損面積が広いことで知られ、1947年に起きた飯田大火に次いで、焼失面積や被害の大きさで特筆されるものでした。

出火の経過と初動

出火は1952年4月17日午後2時55分、鳥取駅前の市営動源温泉の近くから始まりました。当日はフェーン現象の影響で南南西の強風が吹き荒れ、気温は25度を超え、湿度は28％まで低下していました。この影響で、火は瞬く間に拡大し、商店街や住宅へと飛び火していきました。火勢が強まり、消防隊は迅速な消火活動ができず、状況は混乱を極めました。

市内の消防署からの出動命令に対し、県からの応援要請もありましたが、近隣地域の消防団が集結するまでには時間を要しました。また、鳥取市内には適切な水利施設も不足しており、消火活動は難航しました。

消火活動とその影響

火災が発生した際、鳥取市の消防長や消防指令長が不在であったことが、統制のとれない現場をさらに厳しくしました。消火活動にあたったのは、市内の消防隊と27の市町から集まった消防団で、計89団体に及び、約7,126名が動員されましたが、強風による火の勢いに抗うことは難しかったのです。

千鳥格子に近い市街地の構造も火の拡大を助け、袋川が防火帯として期待されましたが、火は川を越えて広がっていきました。知事は警察予備隊に出動を要請し、最終的には夜遅くまで火は消えず、焼失速度は驚愕の約7戸/分というペースでした。

鎮火とその後の影響

火は4月18日午前1時過ぎから小雨によって鎮火しましたが、その間に数多くの家屋や貴重な資産が消失しました。火災による公式な被害者数は、死者2名、重傷3名（後に重傷者の1名が死亡）、軽傷者は3,963名に上りました。また、約5,714世帯が影響を受けたとされています。

焼損面積は44万9千平方メートルにも達し、総損害額は193億円余りでした。当時の鳥取市の人口は約61,000人で、約三分の一が何らかの形で被災したことになります。さらに、この大火は、戦争中に被害を受けていなかった鳥取市に再び絶望をもたらしました。

出火原因と復興

大火の原因は未だに解明されていない部分が多く、複数の出火点が存在することから、様々な可能性が考えられています。そして、火災後の復興活動が開始され、幅の狭い道を広げるなどの都市計画が行われました。耐火建築の促進法も制定され、より安全な街作りが進められました。

米軍の支援と地域の記憶

当時の米軍も迅速に救援活動を行い、地元住民を支援しました。多くの寄付が集まり、復興が進められました。大火から数十年が経った現在でも、鳥取県では毎年火災の記憶を継承すべく、行事が行われています。特に袋川に沿った桜土手の再生は、地域の新たな名所として親しまれており、復興の象徴となっています。

鳥取大火は、ただの火災で終わることなく、地域に多大な影響を与え、消防設備や地域の結束力の重要性を再認識させる出来事となりました。

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