鳥居清忠 (5代目)

五代目鳥居清忠（ごだいめ とりい きよただ）

五代目鳥居清忠は、明治33年（1900年）11月21日に東京で生まれ、昭和51年（1976年）7月13日に75歳で亡くなった著名な浮世絵師、日本画家、舞台美術家です。彼は鳥居派の八代目当主としても知られ、特にその活動は大正時代から昭和時代にかけて高く評価されています。普段は「鳥居言人」として知られています。

来歴と学習

彼は四代目鳥居清忠及び鏑木清方の門下で修行を重ね、多様な技法を習得しました。生まれた場所は、現在の東京都中央区日本橋蛎殻町で、家業も芝居絵に関わる鳥居家の家系に生まれました。幼少期から父から歌舞伎座の絵看板制作など、鳥居派の伝統技術を学びました。初めての号は「言人」であり、その後も様々な名字を使い分けながら、独自のスタイルを模索しました。

1918年には、鏑木清方の門下生となり、美人画の技術を磨いていきました。彼の作品は、清方や伊東深水の影響が色濃く反映された清楚で繊細な肉筆浮世絵や挿絵が特徴です。特に大正3年からは、雑誌『演芸画報』に流れるような美しいカットや挿絵も手がけ、多方面で活動を広げました。

主な業績

昭和2年（1927年）には、河野通勢や岡本一平と共に『新錦絵今様歌舞伎四題』シリーズを発表し、特に美人画はその名作として多くの称賛を受けました。彼はまた、1929年には鳥居派の宗家の8代目を襲名し、その名の元で多くの美術作品を世に送り出しました。

清忠は美人画の中で特によく知られる作品群に「おんな十二題」や「化粧」、また「長襦袢」があります。「長襦袢」には5種の異なるデザインがあり、長襦袢の色合いや模様に工夫を凝らしたものです。彼の木版画には「言人」という落款がつけられており、「清言」に改名後もそのスタイルを維持しています。

後年の活動

彼の活動は舞台美術にも及び、歌舞伎や日本舞踊の舞台装置を数多く手がける一方、木版画の技術でも数々の作品を残しました。特に昭和27年（1952年）の日展では美人画『髪』が入選し、彼の才能が再評価される契機となりました。

生涯と影響

1976年に75歳で亡くなるまで、五代目鳥居清忠は多くの作品を通じて日本の美術界に影響を与え続けました。彼の作品は、千葉市美術館や石川県立美術館などで見ることができ、現在でも多数の後進にインスピレーションを与えています。彼の墓所は台東区の妙顕寺にあります。

彼の残した浮世絵や舞台美術は、伝統的な日本文化の一部として、今なお多くの人々に親しまれています。

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