鳥笛

鳥笛の世界：鳴き声の響きと文化

鳥笛とは、鳥の鳴き声を模した音を発する笛の総称です。古くは狩猟において鳥をおびき寄せるための道具として用いられ、鳥寄せ笛とも呼ばれていました。現在では、その用途は玩具や土産物へと移り変わり、様々な地域で独自の進化を遂げています。

日本における鳥笛の歴史と種類

日本では、古くは『日本書紀』にも「天鳥笛」という記述が見られますが、その詳細は不明です。最もよく知られているのは、竹製の鶯笛でしょう。江戸時代には鳥寄せや飼育の際に用いられ、次第に子供の玩具としても普及しました。短く切った竹の片方を指で押さえ、開閉させながら吹くと、鶯の鳴き声を思わせる音が奏でられます。多くは鶯の形をした飾りが付けられており、可愛らしい姿が特徴です。会津若松などでは「初音の笛」と呼ばれ、春の訪れを告げる存在として親しまれており、梅の花の咲く頃に売られることから春の季語にもなっています。

鶯笛と似た構造を持つ笛として、雲雀笛、雉笛、梟笛などがあります。これらはそれぞれ、雲雀、雉、梟の鳴き声を模倣した音を出します。特に雉笛は、現在では狩猟鳥獣を必要以上に引き寄せる可能性があるとして、狩猟目的での使用が禁止されています。

一方、鳩笛は素焼きの粘土で鳩の形を模した笛です。尾の部分を吹いて鳩の鳴き声を出す玩具として知られ、幼児の喉の詰まりや虫よけに効果があると信じられており、石清水八幡宮など各地の神社でも販売されています。秋の季語としても用いられます。

鳥の鳴き声を模倣する道具としては、木片にねじを差し込み、これを回転させることで鳥のさえずりに似た音を出すバードコールも存在します。中には数十種類もの音を出すことができる複雑な構造の笛型のものもあります。

世界の鳥笛

世界各地には、それぞれの地域の鳥や文化を反映した様々な鳥笛が存在します。例えば、ルクセンブルクでは春の祝日に「エーマイシェン（鳥の土笛市）」という、鳥の鳴き声を模した土笛を販売する祭りが開催されています。

鳥笛の文化的側面

鳥笛は、単なる道具や玩具としてだけでなく、文化的な側面も持ちます。春の季語として用いられる鶯笛や、神社で売られる鳩笛などは、季節の移り変わりや信仰と深く結びついています。また、地域独特の形状や呼び名を持つ鳥笛は、それぞれの地域の歴史や文化を反映した貴重な民俗資料でもあります。

まとめ

鳥笛は、その歴史と多様な種類、そして文化的な側面を通じて、人々と鳥、そして自然との関わりを深く反映しています。今後、これらの鳥笛がどのように進化し、受け継がれていくのか、注目していきたいものです。

脚注

特に記載事項はありません。

関連項目

鳥寄せ
鳩笛 (日本の鳩の鳴き声をまねたものと、中国の鳩が飛ぶときに鳴る笛)
エーマイシェン (鳥の土笛市)
水笛

もう一度検索