鳴門オレンジ

鳴門オレンジ：淡路島の希少な柑橘

淡路島で古くから大切に育てられてきた鳴門オレンジは、独特の風味と歴史を持つ柑橘類です。かつては「鳴門蜜柑」や「阿波蜜柑」などと呼ばれ、地元では親しみを込めて「なると」と呼ばれています。その名前の由来は、鳴門海峡にちなむとされています。

歴史と特徴

約300年前の江戸時代、淡路島の由良（現在の洲本市南部）に住んでいた藩士の陶山氏が、唐橙の種子を育て、選抜を重ねて現在の鳴門オレンジの原型が生まれたと伝えられています。幾多の世代を経て受け継がれ、独自の進化を遂げてきた歴史が、この柑橘類の奥深さを物語っています。

鳴門オレンジの旬は4月中旬から初夏にかけて。他の柑橘類とは一線を画す、ほろ苦さと爽やかな香りが特徴です。その風味は、多くの愛好家を魅了し続けています。また、果肉には種が多く含まれることも特徴の一つです。

生産量の変遷と復活への取り組み

昭和30～40年代には、淡路島全体で約170ヘクタールの畑で鳴門オレンジが栽培されていましたが、酸味と種が多い点が敬遠されたことなどから、生産量は大きく減少。現在では10ヘクタール以下と、非常に希少な柑橘類となっています。

しかし、その希少価値ゆえに、鳴門オレンジの復活を目指した取り組みが活発化しています。吉備国際大学地域創成農学部（南あわじ市）では、苗木づくりや加工食品の開発などを通して、この貴重な柑橘類の未来を守ろうとしています。

地元ならではの楽しみ方

地元では古くから、砂糖をまぶして食べる「なると漬け」という伝統的なお菓子も親しまれています。このお菓子は、鳴門オレンジ本来の風味をシンプルに味わえる絶品として、地元の人々だけでなく、観光客にも人気です。

銘柄の変更

2018年には、「淡路島なるとオレンジ」へと名称が変更されました。これは、産地である淡路島を明確に示し、ブランド価値の向上を目指した取り組みと言えるでしょう。

まとめ

歴史と伝統、そして希少性という魅力を兼ね備えた鳴門オレンジ。その独特の風味と、復活への取り組みは、日本の柑橘類の歴史において重要な役割を果たしています。淡路島を訪れた際には、ぜひこの貴重な柑橘を味わってみてください。その風味は、あなたに忘れられない思い出を届けてくれるでしょう。

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