鴻池新田

鴻池新田（こうのいけしんでん）

鴻池新田は、かつて河内国、現在の大阪府東大阪市に存在した新田です。江戸時代中期、大阪の豪商・鴻池家3代目である鴻池善右衛門宗利によって開墾されました。

概要

宝永元年（1704年）の大和川付け替え工事によって生まれた広大な土地の開発権利を鴻池善右衛門が譲り受け、新田開発に着手しました。伊勢や枚方などから農民を移住させ、新田を拓きました。開発面積は約119ヘクタールと、大和川付け替え工事でできた新田の中でも最大規模を誇ります。

かつては米農家が多く、水路を利用した舟運が盛んでしたが、昭和後期以降の宅地開発により、耕作地は住宅地へと姿を変えました。現在も鴻池本町には、初期の入植者の子孫が暮らしています。

歴史

宝永2年（1705年）に工事が開始され、新田開発は着々と進められました。村高は「天保郷帳」・「旧高旧領」共に1706石余でした。新田の村民たちは、互いに村の名前をつけて呼び合い、婚姻などを通して強い結びつきを保っていました。鴻池本町では、水路が網の目のように走り、各々の家には米を運搬するための舟が備えられていました。

明治22年（1889年）には、中河内郡北江村の大字となりました。

旧鴻池新田会所

鴻池新田会所は、鴻池新田の維持管理を行うための事務所として宝永4年（1707年）に建設されました。当時の建築物や濠がほぼそのまま現存しており、貴重な文化遺産として、敷地は国の史跡、本屋、屋敷蔵、文書蔵、米蔵、道具蔵の5棟が国の重要文化財に指定されています。現在は東大阪市が所有・管理し、郷土資料館として一般公開されています。

利用案内

開館時間: 午前10時～午後4時
休館日: 月曜日、祝日の翌日（月曜日が祝日の場合はその翌日）、年末年始（12月29日～1月4日）
観覧料: 一般 300円、小中学生 200円
アクセス: JR学研都市線 鴻池新田駅下車、南東へ徒歩約5分

鴻池水路

鴻池新田会所に隣接する鴻池水路は、かつて農業用水として利用されていましたが、都市化の進展とともにその役割は薄れていきました。そこで、東大阪市は下水処理場をリニューアルし、処理水を水路に流すことで、水路を再生しました。水路は、歴史エリア、親水エリア、浄化施設エリアの3つのエリアに分けられ、緑地帯や遊歩道、ビオトープなどが整備されています。

2004年には、その取り組みが評価され、国土交通大臣表彰の「いきいき下水道賞」を受賞しました。

各エリアの紹介

歴史エリア: 鴻池新田会所周辺に位置し、歴史的な景観を活かしたゾーン。
親水エリア: 寺島公園周辺に位置し、緑地帯と自然が融合したゾーン。
浄化施設エリア: 住道駅周辺に位置し、滅菌施設を中心としたゾーン。

鴻池新田は、江戸時代の新田開発の歴史を今に伝える貴重な遺産であり、鴻池新田会所や鴻池水路を通して、その歴史と文化に触れることができます。

出典

親水事業

外部リンク

* 鴻池新田会所

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