鵜頭川村事件

鵜頭川村事件

『鵜頭川村事件』（うずかわむらじけん）は、日本のミステリーおよびホラー小説で、著者は櫛木理宇です。この作品は2018年6月25日に文藝春秋から単行本として出版され、2020年11月には文庫化されました。さらに、2022年4月にはコミカライズされ、同年8月にはテレビドラマとしても放送されるなど、多岐にわたるメディア展開が行われました。

あらすじ

物語は1979年6月、岩森明とその娘愛子が亡き妻であり母、節子の故郷である鵜頭川村を訪れるところから始まります。彼らは3年ぶりの墓参りを予定していましたが、思わぬ豪雨に見舞われます。その雨の中で、一人の若者の死体が発見され、村は不穏な空気に包まれます。

地元の若者たちは、死体の発見が村の有力者である矢萩吉朗の息子で問題児の大助によるものだと主張します。しかし、矢萩家に刃向かうことは容易ではなく、事件は闇に葬られるかのように進展を見せない中、家同士の対立が顕在化します。若者たちは自警団を結成し、村の状況を変えようと奮闘します。

この混沌とした村の中で、明と愛子は閉ざされた村から無事に脱出できるのか、緊迫感あふれる展開が続きます。

登場人物

• - 岩森明（いわもり あきら）: 本作の主人公。15歳で上京し、看護婦の節子と結婚。3年前に妻を亡くしてからは愛子を育てる父親としての苦労が描かれています。
• - 降谷辰樹（ふるたに たつき）: 村の自警団のリーダー。村の若者たちをまとめ、立ち上がらせる頼もしい存在です。
• - 矢萩元市（やはぎ もといち）: 節子の伯父で、岩森親子を家に招き入れる心の広い人物です。
• - 矢萩吉朗（やはぎ きちろう）: 村の実質的な支配者として村に君臨する冷酷な人物。
• - 矢萩大助（やはぎ だいすけ）: 吉朗の酒乱な息子で、若者たちから疎まれている存在。
• - 矢萩廉太郎（やはぎ れんたろう）: 矢萩の血を引きながらも、対立する降谷家の港人と親友である少年。
• - 降谷港人（ふるたに みなと）: 煙草屋の息子で、若者たちの革命に巻き込まれます。

書誌情報

本作は、単行本として2018年6月25日に発売され、その後2020年11月10日に文春文庫としても刊行されています。コミカライズ版は2022年4月より、河野那歩也によって原作に忠実に描かれ、上下巻として出版されました。

テレビドラマ

2022年8月28日から10月2日まで、WOWOWで連続ドラマWとして放送され、主演は松田龍平が務めました。このドラマでは、原作のストーリーやキャラクターに改編が施されつつも、基本的なテーマは保持されています。

この作品は、心理的な緊張感と村社会の対立を描いた重厚なミステリーであり、読者や視聴者に深い余韻を残します。

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