鶴屋町 (高松市)

鶴屋町

高松市鶴屋町は、香川県の県庁所在地である高松市の中心部に位置する町丁です。郵便番号は760-0035が割り当てられています。この地域全域で住居表示が実施されています。

地理と現在の町並み

高松市役所からおよそ0.9キロメートル北にあり、市街地の中心部北側に広がっています。町の境界は、北側が瀬戸大橋通り、東側が市道高松港海岸線によって区切られています。西側はことでん琴平線片原町駅の西口に面しており、南側は片原町の裏手にあたるエリアです。町内には、幹線道路沿いに比較的小規模なオフィスビルや商業施設が見られる一方、その内側の地域には戸建ての住宅や集合住宅が建ち並んでいます。興味深い点として、ことでん琴平線の片原町駅は、隣接する片原町ではなく、この鶴屋町に所在しています。

統計と行政区分

2010年の国勢調査によると、鶴屋町の人口は294人で、内訳は男性136人、女性158人です。世帯数は162世帯でした。町域の面積は約2万3805平方メートル、人口密度は約12350人/平方キロメートルとなります。公立の小中学校に関しては、町内の全域が高松第一小学校・中学校の校区に含まれており、小中一貫教育が行われています。都市計画法に基づく用途地域は全域が商業地域に指定されています。容積率は大部分で400%、ことでん琴平線の鉄道敷地より西側の地域では500%に設定されています。

町名の由来

「鶴屋町」という町名の由来には複数の説が伝わっています。一つは、「鶴屋」という名の裕福な商人がこの地に住んでいたことに由来するという説。もう一つは、高松城下町の中心をなす丸亀町（亀）に対して、縁起が良いとされる「鶴」を合わせた瑞祥地名であるという説です。

歴史

鶴屋町は、江戸時代には高松城の総曲輪内に位置する、いわゆる「内町五町」の一つとして数えられていました。特に、高松藩の軍港であった東浜舟入（御舟入）に面しており、港町としての性格を強く持っていました。寛永17年（1640年）頃の城下図には「津るや町」と記されており、南北に走る通りが「津るや町通り」として描かれています。また、近隣には藩の役所である東町御奉行所や西町御奉行所、さらに同心屋敷や牢屋なども配置されていました。江戸時代初期には舟入の対岸である東浜町（現在の城東町の一部）との間に橋が架けられていましたが、文化年間（1804年〜1818年）の城下図では、舟入の南端と外堀を結ぶ部分に設けられた土橋に置き換わっており、この土橋を通じて通町、そして井口町や東浜町へと繋がっていました。江戸時代末期には、この土橋の付近に町番所や制札場が設置されていた記録があります。

江戸時代を通じて、鶴屋町は東に東浜港を臨む港町として栄えました。高松を代表する商業港として様々な物資が陸揚げされ、港で働く人々（沖仲仕）で活気に満ちていました。彼らを対象とした食堂や酒場が多く営業しており、大いに賑わいを見せていたのです。

明治時代に入ると、1884年（明治17年）には旧牢屋敷跡に高松第一小学校が創設されます。1890年（明治23年）2月15日には、それまでの城下町を基盤として高松市が誕生し、鶴屋町はその一部となりました。1900年（明治33年）には、土橋より南側の高松城外堀が埋め立てられ、鶴屋町を含む総曲輪内の「内町」地域は、地理的に城下町全体と一体化しました。

しかし、1945年（昭和20年）7月4日未明、アメリカ軍による高松空襲により、町内は壊滅的な被害を受け、一面焼け野原となりました。戦後、空襲で大きな被害を受けた高松市中心部では、復興のための土地区画整理事業が進められました。鶴屋町もこの事業の対象（第一工区二次）となり、多くの街路が拡幅・改良され、現在の町並みの基礎が作られました。この区画整理事業が完了し、換地処分が公告されたのは1964年（昭和39年）1月25日です。戦後の町域変更も複数回行われました。1958年（昭和33年）には町域の一部が丸の内へ編入され、1964年（昭和39年）には一部が通町へ編入される一方、北浜町、本町、工町、内磨屋町のそれぞれ一部が鶴屋町に編入されました。さらに、1969年（昭和44年）2月10日には住居表示の実施に伴い、鶴屋町の一部を本町へ、本町の一部を鶴屋町へ編入するなど、境界の調整が行われています。

そして、かつての港町としての性格が大きく変わる出来事がありました。1965年（昭和40年）に東浜港の南部（旧舟入にあたる、現在の市立城東保育園付近）が埋め立てられたのです。これにより、鶴屋町は港に面する位置から完全に内陸の町となり、港町としての活気や風景は過去のものとなりました。

主な施設

町内には以下のような施設があります（掲載順は住居表示による街区符号・住居番号順）。

• - ファーストイン高松
• - マルヨシセンター片原町店
• - ことでん琴平線片原町駅

鶴屋町は、江戸時代の港町としての繁栄、戦災からの復興、そして港の埋め立てによる内陸化といった歴史的な変遷を経て、現在の市街地の一部としてその姿をとどめています。

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