鶴岡まちなかキネマ

鶴岡まちなかキネマ

鶴岡まちなかキネマは、山形県鶴岡市に位置する特有の映画館で、2つのスクリーンを備えています。この映画館は、2010年5月22日に「株式会社まちづくり鶴岡」によって開館しました。その後、2020年5月22日に一度閉館しましたが、2023年3月25日に「山王まちづくり株式会社」によって再び営業を始めました。

歴史

開館の背景

1975年には5館の映画館が存在していた鶴岡市ですが、2002年に最後の映画館が閉館したことで市内から映画館が消えてしまいました。そんな中、2007年に設立された「株式会社まちづくり鶴岡」が映画館の復活を目指し、計画を立て始めました。旧松文産業鶴岡工場の跡地を利用し、著名な建築家である高谷時彦氏の設計によって新たな映画館が作られました。経済産業省からの補助を受け、約10億円を投じて建物を改修し、2010年に開館を果たしました。当初、映画上映だけでなくさまざまなイベントも開催され、多くの市民に愛される存在となりました。

経営の苦境と閉館

しかし、運営は困難を極めました。開館当初には13万人の観客動員を目指していたものの、2020年にはその半分以下の約8万人に留まりました。また、同年には新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされるなど、収益が厳しくなりました。そして、運営側は閉館を選択せざるを得なくなり、開館10周年を迎えた2020年5月22日に閉館を決定しました。このニュースに対して市民たちは「まちキネの存続と再生を願う会」を結成し、映画館の保存を訴える署名活動を行い、1万619人の署名を集めました。

2020年11月には、鶴岡市社会福祉協議会が映画館の施設を取得し、事務所としての利用を計画。市民の意見を基に一部の映画上映機能を残す方針が提示され、地域貢献の一環として、さらなる映画文化の存続が模索されました。

再開の決定

2022年10月、山王まちづくり株式会社は、2023年3月25日に営業再開することを発表しました。旧設備にある4つのスクリーンのうち、2つを小規模なミニシアターとして運営する方向決定し、さらに古くなったデジタル映写機の更新も進めました。この更新について、俳優の井浦新氏の協力を得ながらクラウドファンディングを実施し、地域の期待が高まりました。これは再開に向けた重要な一歩となります。

鶴岡まちなかキネマは、かつての映画文化を再生させるために不断の努力を続けている大切な施設です。

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