鶴澤蟻鳳

鶴澤蟻鳳（つるさわ ぎほう）

鶴澤蟻鳳は、義太夫節における三味線の名跡として重要な位置を占めています。この名跡は、複数の代にわたって受け継がれており、その系譜は興味深いものがあります。

初代の登場

初代鶴澤蟻鳳は、初代鶴澤三二の門弟であり、寛保年間に修行を始めます。彼は東西混乱の時期に豊竹座へ移籍し、師匠の死後には立三味線を担い始めました。そして、安永8年（1779年）に江戸へ向かい、鶴澤蟻鳳という名前で活動を開始しました。彼が最初に名を広めた場所は「吉野静人目千本」で、そこでは三味線筆頭としてその名を刻みました。

二代目・三代目の変遷

二代目鶴澤蟻鳳は初代の門弟であり、大坂を中心に活動しました。彼の出座は多くの文献に見られますが、最初の出座や襲名の詳細は不明です。また、彼は主に江戸ではなく大阪で活躍していました。他の名手と同じように、彼に対する記録は少なく、師匠との関係を重んじつつも独自の活動を行っていたようです。

三代目鶴澤蟻鳳は初代鶴澤伊左衛門から名づけられ、彼もまた多くの舞台に出ていました。彼の活動は寛政から文化の時代にかけて続き、まさにこの時代の義太夫の発展に寄与した一人です。彼は特に「国性爺合戦」などの演目で活躍し、その技術が称賛されていました。

四代目・五代目の系譜

四代目鶴澤蟻鳳は、初代鶴澤清七の門弟であり、非常に多様な名跡を経てこの地位を得ました。彼は文化年間に初出座し、義太夫の名場面で幅広く活動しました。そして、文政元年（1818年）に四代目の蟻鳳を名乗ることとなり、これまでの名跡を引き継ぎました。四代目が求められる技術は、彼が後続の演者たちに与えた影響の大きさを物語っています。

五代目鶴澤蟻鳳は、初代の系譜を保持しつつも、しっかりと新しい時代に方針を合わせていきました。彼の時代もまた、義太夫の歴史の中で変革が求められ、彼はその流れに適応していった結果、多くのファンを魅了することとなりました。

終わりに

鶴澤蟻鳳は、初代から五代目までの系譜を通して、義太夫節の発展に寄与してきました。名跡を受け継ぎ、各代の名手たちがどのようにしてその名声を築き上げていったかを知ることで、義太夫の魅力の一端を理解することができるでしょう。

もう一度検索