鶴見検車場

鶴見検車場

鶴見検車場（つるみけんしゃじょう）は、大阪府大阪市鶴見区浜1丁目2番地6に所在する、大阪市高速電気軌道（Osaka Metro）が管理運営する車両基地です。この施設は、主に長堀鶴見緑地線と今里筋線で使用される鉄道車両の留置、日常点検、定期的な検査・修繕などを担当する重要な役割を担っています。

沿革

この検車場は、1990年（平成2年）3月20日に長堀鶴見緑地線（当時は鶴見緑地線という名称でした）の最初の区間である京橋駅と鶴見緑地駅間が開業したのに合わせて開設されました。路線の運行に必要な車両を管理するための拠点として、開業当初からその機能を果たしています。その後、1996年（平成8年）12月11日には、長堀鶴見緑地線が心斎橋駅まで延伸開業しました。この延伸に伴い、運用される車両数が増加したため、検車場の収容能力を高める必要が生じました。拡張工事の結果、現在は4両編成の車両を最大で27本収容可能な規模となっています。これは、路線の拡大とそれに伴う車両数の増加に対応するための重要な整備でした。

運営形態に関しても歴史的な変化があります。開設から長らくは大阪市交通局の一部門として運営されていましたが、2018年（平成30年）4月1日に大阪市営地下鉄が民営化され、大阪市高速電気軌道株式会社（Osaka Metro）が設立されたのに伴い、鶴見検車場の管理運営権も同社に引き継がれ、現在に至っています。

機能と構造

鶴見検車場の主要な機能は、所属車両の安全かつ安定した運行を支えるための保守作業全般を行うことです。具体的には、日々の検査（仕業検査）や、より詳細な検査、修理、清掃などが行われます。特に、長堀鶴見緑地線で使用される車両の基地としての役割が中心ですが、この検車場は今里筋線で運用される車両の検査も担当している点が特徴です。今里筋線には独自の車両基地（鶴見緑地北車庫）がありますが、本格的な検査や修繕が必要な車両は、鶴見検車場へ回送されます。この回送を可能にするため、鶴見検車場と鶴見緑地北車庫の間には、約2キロメートルにわたる連絡線が敷設されています。この連絡線は通常営業運転では使用されませんが、両線を結ぶ重要な接続点となっています。

施設自体は、広大な面積を持つ鶴見緑地公園の東南の地下空間に設けられています。都市公園の地下という立地は、地上空間の有効活用を図る上で特筆すべき点です。施設の構造としては、外周部が吹き抜けとなっており、地下施設でありながら自然光を取り入れ、換気にも配慮されています。そして、この検車場の最もユニークな特徴の一つは、その屋上部分が公園の一部として有効活用されていることです。具体的には、広々としたテニスコートが整備されており、「鶴見緑地庭球場」として一般に開放されています。これは、都市インフラ施設と市民のレクリエーション空間が見事に融合した例と言えるでしょう。

所属車両

2024年現在、鶴見検車場には長堀鶴見緑地線と今里筋線で使用される合計42編成168両の車両が所属しています。所属車両は、主に以下の2形式です。

70系: 1990年1月の導入開始から現在まで運用されている形式です。現在は25編成、合計100両が所属しています。
80系: 2005年12月から導入が開始された形式です。現在は17編成、合計68両が所属しています。

これら合計42編成168両のうち、長堀鶴見緑地線の営業列車として運用されているのは26編成104両です。一方、今里筋線の営業列車として運用されているのは16編成64両となっています。両形式ともにリニアモーター推進方式を採用しており、大阪の地下鉄ネットワークにおいて重要な輸送力の一端を担っています。

（参考文献：『大阪市高速電気軌道第7号線京橋〜鶴見緑地間 リニアモータ地下鉄建設記録』大阪市交通局 (1993年出版)）

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