鹿児島大学医療技術短期大学部

鹿児島大学医療技術短期大学部（かごしまだいがくいりょうぎじゅつたんきだいがくぶ）は、日本の国立短期大学として、かつて鹿児島県鹿児島市に存在しました。英語名称は School of Allied Medical Sciences, Kagoshima University といい、略称は鹿大医短や医短とも呼ばれていました。この短期大学は1986年に設立され、16年後の2002年にその役割を終え廃止されました。

短期大学設立に至る背景には、地域における医療従事者養成の長い歴史があります。始まりは1942年、戦時中に鹿児島県立第一高等女学校内に設けられた社会福祉事業協会保健婦養成所や、戦後1950年に開校した鹿児島県立看護学校、そして1957年に設立された鹿児島県立大学医学部附属助産婦学校などが挙げられます。これらの教育機関は、1958年に国立へと移管され、その流れを引き継ぐ形で、1985年10月1日に文部省より短期大学の設置が認可されました。

そして、1986年4月1日、鹿児島大学医療技術短期大学部として新たなスタートを切りました。開学時には、医療技術の専門家を育成するため、以下の3つの学科が設置されました。

看護学科（入学定員80名）
理学療法学科（入学定員20名）
* 作業療法学科（入学定員20名）

これらの学科構成は、短期大学が廃止されるまで一貫して維持されました。さらに、より専門性の高い教育機会を提供するため、1993年4月1日には専攻科が加わりました。専攻科には、地域医療に貢献する高度な看護実践能力を養う地域看護学専攻（入学定員20名）と、助産師を養成する助産学特別専攻（入学定員20名）が設置され、卒業後のキャリアアップを支援する体制が整えられました。

教育内容の大きな特徴として、実践的な技能習得への重視が挙げられます。特に、隣接する鹿児島大学医学部附属病院との連携による豊富な臨床実習は、学生が現場で通用する実践力を身につける上で重要な役割を果たしました。教育・研究活動の成果は、『鹿児島大学医療技術短期大学部紀要』として定期的に発表されていました。

学風や特色としては、鹿児島大学医学部との密接な関係性が挙げられます。同じ桜ヶ丘キャンパス内に位置していたため、教員の兼任が多く見られ、学生のサークル活動も医学部と共通のものが利用されており、学生間の交流が盛んに行われていました。男女共学でしたが、医療技術分野の性質上、女子学生が多数を占めていました。短期大学のカレッジマークは、親組織である鹿児島大学と同じデザインが使用されていました。

各学科の卒業生は、専門職としての国家試験受験資格を得ることができました。看護学科からは看護師、理学療法学科からは理学療法士、作業療法学科からは作業療法士です。卒業生の多くは、鹿児島大学病院をはじめとする全国各地の医療機関で、医療技術の専門家として地域医療の現場を支えました。

時代の流れと共に、医療技術者養成が四年制大学へと移行する中で、鹿児島大学医療技術短期大学部もその使命を終えることとなりました。1998年度の入学生を最後に学生募集を停止し、在学生が全て卒業した後の2002年3月31日をもって正式に廃止されました。短期間の存在ではありましたが、地域社会に貢献する多くの医療専門家を育成し、日本の医療教育における一時期を担った短期大学として、その歴史は記憶されています。

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