鹿児島市立美術館

鹿児島市立美術館：歴史と芸術の融合

鹿児島市立美術館は、鹿児島県鹿児島市城山町に位置する、歴史と芸術が融合した美術館です。1954年の開館以来、地域文化の拠点として、また、九州を代表する公立美術館として、長年にわたり人々を魅了し続けています。

歴史を刻む建造物

現在の美術館が建つ地は、かつて島津氏の居城であった鶴丸城の二の丸跡です。明治時代には鹿児島市役所が置かれ、その後、歴史館として利用された建物を改修して、1954年8月1日、鹿児島県初の公立美術館として開館しました。これは、公立美術館としては九州最古の歴史を誇ります。

第二次世界大戦で被災しながらも、外壁を残し、その歴史を物語る建物は、1985年に改築され、現在の姿となりました。改築にあたっては、桜島の火山灰対策として、屋根の散水設備やダストシュートも備えられました。1986年には、BCS賞を受賞するなど、建築的にも高い評価を受けています。

充実したコレクションと展示

美術館は、約4500点もの美術品を収蔵しています。その中には、近代洋画の父と呼ばれる黒田清輝の作品群が中心となり、鹿児島出身の画家の作品も数多く含まれています。黒田清輝の代表作「アトリエ」をはじめ、約740点もの油彩画が常設展示室や収蔵庫に保管されています。

常設展示室に加え、企画展示室、一般展示室、展示ギャラリー、アートライブラリーなども備え、多様な展示を通して、来館者に豊かな芸術体験を提供しています。また、西郷隆盛の遺品なども所蔵しており、歴史と芸術の両面から、鹿児島の文化を深く理解できる場となっています。

黒田清輝との深い繋がり

美術館の設立には、黒田清輝とその妻、照子の貢献が大きいです。黒田清輝の門下生たちの尽力によって、黒田清輝顕彰のための記念館設立運動が始まり、照子夫人が黒田清輝の代表作を寄贈したことがきっかけとなり、美術館設立へと繋がりました。開館記念の黒田清輝展には、約3万7千人の来場者を集め、その人気を証明しています。

地域に開かれた美術館

鹿児島市立美術館は、単なる作品展示の場にとどまらず、地域社会に開かれた施設として、様々な活動を行っています。市民アトリエの設置や、ワークショップなどの企画を通して、芸術を身近に感じ、創造性を育む場としても機能しています。

アクセスと周辺環境

美術館は、鹿児島市電「朝日通」電停、または鹿児島市営バスなどのバス停「金生町」から徒歩約5分の場所に位置しています。近隣には、西郷隆盛銅像、鹿児島県立博物館、鹿児島県立図書館、鹿児島県歴史資料センター黎明館、かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館など、多くの文化施設が集積しており、「かごしま文化ゾーン」を形成しています。

まとめ

鹿児島市立美術館は、歴史と芸術が調和した、貴重な文化施設です。黒田清輝を中心とした近代洋画のコレクション、そして、地域に根ざした活動を通して、これからも多くの人々に感動と創造の場を提供し続けるでしょう。 美術館を訪れる際には、周辺の文化施設も合わせて巡ってみることをお勧めします。

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