鹿島橋 (富士川)

鹿島橋（かしまばし）について

鹿島橋は、山梨県南巨摩郡富士川町の箱原地区と鹿島地区を結ぶ富士川上に架けられた橋であり、その交通的役割は地域において非常に重要です。この橋は、周囲を山に囲まれた鹿島地区と、国道52号に接続する箱原地区との間の唯一の交通路となっています。鹿島地区は、富士川の流れを除くと3方向を西八代郡市川三郷町に取り囲まれた場所に位置していますが、交通の便が非常に限られているため、鹿島橋は不可欠なインフラとなっています。

歴史的背景

鹿島橋が架設される以前、この地点には「砥坂の渡し」と呼ばれる渡し船が存在していました。この渡しは、古くから道路が整備される前から使用されており、特に江戸時代には駿州往還が整備される際、箱原から鹿島地区へ渡る重要な交通手段でした。箱原から南側には「砥坂」と称される断崖絶壁があり、通行が非常に難しいため、渡し船が重宝されていました。江戸時代後期には、新たな「新道切通」が整備されたものの、当時の道幅は狭く、馬による通行すら困難であったため、蜜のように絡み合う山々を越えるためには「砥坂の渡し」が重要な役割を果たしていたのです。

橋の架設と再建

初代の鹿島橋は1963年に設計され、全長168メートルのトラス橋として開通しましたが、橋幅が3.80メートルと狭く、普通車同士の対向通行が非常に困難であり、歩行者が安全に通行できる歩道も設けられていませんでした。そのため、利用者からの安全性の希求に応じる形で、架け替えが急務とされました。2007年には新たに全長202メートル、橋幅9.75メートルの歩車分離が施された桁橋が完成し、現在の鹿島橋として利用されています。この新橋の完成に伴い、初代の橋は閉鎖され、解体されました。

橋の意義と地域への貢献

鹿島橋は、地域住民にとって不可欠な交通路であり、特に鹿島地区の住民にとっては箱原地区や市川三郷町へのアクセスを可能にする大切な存在です。これにより地域の交流が促進され、経済活動の活性化にも寄与しています。また、鹿島橋の新設に際しては、安全面を重視し、歩行者の通行にも配慮された設計となっているため、地域住民の移動がより安全に行えるようになりました。

今後の動向

鹿島橋の架け替えと平行して、鹿島地区と市川三郷町の落居地区を結ぶトンネルの掘削計画が存在しましたが、事業計画の再検討が行われ、中断された状態にあります。今後、この計画が進展するかどうかは、地域の交通事情に大きな影響を与えることでしょう。

鹿島橋は、その歴史的な背景とともに地域の価値を支え続けており、その存在は今後も地域住民にとって欠かせないものとなっていくことでしょう。

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