鹿島神流

鹿島神流（かしましんりゅう）

鹿島神流は日本の古流武術を代表する流派であり、剣術と柔術を基本に、幅広い武道が行われています。この流派には、抜刀術、薙刀術、懐剣術、杖術、槍術、棒術など多くの技が含まれ、総合武術としての性格を強く持っています。

流派の歴史は深く、鹿島神宮に古くから伝わる「鹿島の太刀」から始まっています。伝説によれば、この剣は武甕槌大神が悪神を抑えるために使ったもので、その系譜が流派の根源にあります。特に、抜刀術の「祓（はら）太刀」や、柔術の「霊気之法」はこの神話的技術から派生したと言われています。

流派の創始者である松本備前守紀政元は、戦国時代に鹿島大神に祈願し、剣術の極意を記した「天狗書」を受け取ったことから、鹿島神流の技が確立されました。また、松本備前守は「一ノ太刀（いちのたち）」の発案者としても知られています。その後、國井家が流派の宗家を担い、代々その血脈が続いています。

流派の形成には、戰国時代の宗家と弟子たちによる交流が大きな役割を果たしました。特に、流派名を変えて神影流などと名乗ったのは、幕府からの弾圧を避けるためだったと言われています。第十二代宗家の國井大善は、直心影流の小野清右衛門から免状を授かり、流派を継承しました。この歴史はやがて第十八代の國井善弥まで続き、現在は第十九代の國井正勝と第十九代の師範家である關文威がその伝統を守っています。

鹿島神流の武術は、物理的な原則である「方円曲直鋭」や、哲学的な原則「五ヶ之法定」に基づき構成されています。剣術を中心に、柔術やその他の武具を用いた技術も剣術とほぼ同一に扱うことができるため、多岐にわたる技法が存在します。

教育理念は「抑々　鹿島神流は徒に倒敵破邪の愉悦を好むものに非ず　天ヶ下御冶召し給ふ大御心に副ひ奉るの士を培ふに在り」と定義されており、武道の修行は身体を整えることから始まり、心理的な成長を経て、最終的には宇宙の原理を理解することに至ります。

鹿島神流には、剣術の様々な技法として、基本太刀、裏太刀、実戦太刀組、そして抜刀術や柔術の多様な技が含まれています。これにより、武士としての精神と技をバランスよく習得することが求められています。さらに、この流派名は商標登録されており、現代においてもその価値が認められています。

鹿島神流の歴史には、念流や直心影流との関連もあり、それに触れている資料も多く存在します。流派の技術や思想は、現代の武道にも多大な影響を与え続けており、学びの場が広がっています。このように、鹿島神流は日本武道の発展において重要な役割を果たしており、今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

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