黄色いロールス・ロイス

映画『黄色いロールス・ロイス』

『黄色いロールス・ロイス』（原題: The Yellow Rolls-Royce）は、1964年に公開されたイギリスのオムニバス映画である。テレンス・ラティガンが脚本を手掛け、アナトール・ド・グリュンワルドが製作、アンソニー・アスクィスが監督を務めた。本作は、名優たちが出演し、戦前のヨーロッパを舞台にした3つの短編が連なって物語を描いている。

ストーリーの概要

本作は、1台のロールス・ロイスが異なる3組の持ち主を巡り、それぞれの人生ドラマを映し出す。第1話では、ロンドンのチャールズ侯爵が妻エロイーズにプレゼントした新車が中心となる。彼は馬主として競馬での勝利を狙うが、妻の不倫を知り、ロールス・ロイスを返品する決断を迫られる。

第2話では、イタリアのマハラジャから買い取られた黄色いロールス・ロイスが、アメリカのギャングとその婚約者を乗せて旅をする。彼らは観光中に出会ったカメラマンと心の交錯をさせるが、ギャングの横暴によって状況は複雑になっていく。

第3話では、アメリカの未亡人ゲルダがユーゴスラビアを訪れる途中で、パルチザンの男ダビッチと出会う。彼女は恋に落ち、政治的危機の中で彼に祖国に戻るよう頼まれるが、二人の愛は困難な運命に晒される。

キャスト

本作には、イングリッド・バーグマン、シャーリー・マクレーン、アラン・ドロンなど名だたるキャストが出演している。各エピソードの持ち主たちはそれぞれ異なる魅力を放ち、物語を彩る。また、日本語吹替版では、彼らの声をそれぞれの台詞に合わせた声優たちが担当している。

製作と撮影

1964年4月にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーのプロジェクトとして始動し、ロンドンとイタリアでのロケが行われた。印象的な車両には1931年製のロールス・ロイス・ファントムIIが使用され、その存在感が作品の美しさを際立たせている。

作品の評価

映画批評家たちによる評価は様々であり、サンデー・テレグラフ紙は「豪華な車とともにスターを迎え、衝撃のストーリー展開」と評した。一方、タイム誌は「優雅だが古風な映画」とし、ニューヨーク・タイムズはその巧妙さを称賛したが、全体のバランスに疑問を呈した。

興行的には、全米で540万ドルの収益を上げ、1965年のトップ10にランクインする成功を収めた。また、本作の主題曲『Forget Domani』は、第23回ゴールデングローブ賞で最優秀オリジナル曲賞を受賞した。

まとめ

『黄色いロールス・ロイス』は、異なる文化と歴史を背景にした人間ドラマを描いた傑作であり、各エピソードで繰り広げられる愛や葛藤は今なお視聴者の心に響く。本作は映画史に名を刻む重要な作品として、多くのファンに親しまれている。

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