黄色い顔

概要

『黄色い顔』（原題：The Yellow Face）は、イギリスの著名な作家アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズシリーズの短編小説である。この作品は、ドイルの短編小説の中で15番目に発表されたものであり、1893年の2月にイギリスの『ストランド・マガジン』とアメリカの『ハーパーズ・ウィークリー』に掲載された。「シャーロック・ホームズの思い出」と題された短編集にも収録されている。

あらすじ

物語は1882年から1888年のいずれかの年に設定されているが、正確な年代は不明である。早春のある日に、ホームズと彼の親友ワトスンは、ノーバリに住む商人グラント・マンローから依頼を受ける。マンローはエフィという未亡人と結婚しており、彼女の過去がストーリーの中心になる。

エフィは若いころにアメリカに移住し、ジョン・ヘブロンという弁護士と結婚。しかし、黄熱病で夫と子供を失った後、イギリスに戻り、マンローと新たな生活を始めた。幸せに暮らし始めた矢先、近所に引っ越してきた家族の存在が彼らの生活に不安をもたらす。マンローがその別荘に挨拶に行くと、そこで無愛想な女性に出くわし、2階の窓からは不気味な黄色い顔が覗いているのを目撃する。

その後、エフィの行動が不審になり、彼女が大金を求めたり、夜中に外出することが増える。マンローはエフィの様子を問い詰めるが、彼女は「後生ですから私を信じて、何も聞かないでください」と訴える。彼女の言葉に耳を貸さざるを得ないマンローだが、内心は疑念を抱く。

マンローはホームズに相談し、再び別荘の様子を調査するよう指示を仰ぐ。ホームズはエフィの先夫が生きているのではないかと推理し、彼女が過去の傷から逃げている可能性を考える。マンローからの電報で、別荘に住人がいるとの情報が届けられ、ホームズとワトスンはその別荘へ向かう。

解決

エフィの制止を振り切り、ホームズたちが別荘に入ると、そこにいたのは実はおもちゃの仮面をかぶった黒人の少女だった。この子はエフィの娘であり、エフィは彼女を隠すために黄色い顔の仮面を使っていた。エフィはすべてを打ち明ける。彼女は死んだとされる先夫との間に子供を持ちながら、愛するマンローと結婚する決断を下したが、娘の存在を隠そうとしていた。

エフィは、娘を乳母に預けていたが、その後の手紙で娘が成長していることを知り、会いたくなり、急遽別荘に移り住むことに。マンローはその事実を理解し、彼女に優しさを示す。「私も大して善良な男とは思わないが、君が考えているよりましな男のつもりだ」と言い、家族関係を受け入れることに。

余談

この物語の中で、ホームズは留守の間に依頼者の忘れたパイプを観察し、彼の特徴を推理するシーンがあり、その手法が描かれている。この描写は、ホームズの推理力を際立たせるもので、彼のキャラクターに深みを加えている。ドイルの作品には、こうした観察や推理の力が頻繁に描かれ、読者に強い印象を与える。

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