黒崎道雄

黒崎 道雄（くろさき みちお）氏は、長年にわたり日本のランドスケープおよび環境分野で活躍してきた専門家です。特に滋賀県においては、県庁職員として重要な役割を担い、地域社会の発展と環境保全に深く貢献しました。

初期キャリアと滋賀県庁での活躍

1968年に千葉大学園芸学部造園学科を卒業後、滋賀県庁に入庁。造園の専門知識を活かし、滋賀県の公園、緑地、そして広範な土木事業に関わることとなります。県庁在職中は、土木交通部の技監という重要なポストを務めたほか、滋賀県希望ヶ丘文化公園の公園長として、広大な公園施設の管理運営と魅力向上に尽力しました。これらの経験を通じて、公共事業における計画、設計、施工、管理運営に至るまでの幅広い知識と実践力を培いました。

公的な立場からの貢献

滋賀県庁での職務と並行して、あるいはその経験を基盤として、様々な公的委員会の委員としても活動しました。滋賀県景観審議会委員としては、琵琶湖を中心とした滋賀県独自の美しい景観を守り育てるための政策や取り組みに専門家の立場から助言を行いました。また、甲賀市都市計画審議会委員としては、同市の持続可能なまちづくりや発展に向けた都市計画の策定・変更に関わり、専門的知見を提供しました。

専門資格と所属団体での活動

黒崎氏は、技術士（建設部門および環境部門）の資格を有しており、これはその専門性の高さを証明しています。建設分野における高度な技術力と、環境分野における深い知見を兼ね備えていることから、複雑な社会基盤整備と環境配慮が求められる現代の課題に対応する能力を持っています。また、公園管理運営士会関西支部の幹事としても活動しており、公園のより良い管理運営方法の普及や、専門家の交流・育成にも貢献しています。

受賞歴

これまでの功績は、権威ある賞によっても高く評価されています。日本公園緑地協会から授与される第30回北村賞を受賞。この賞は、日本の公園緑地分野において顕著な功績があった個人に贈られるものであり、黒崎氏の長年の貢献が認められたものです。さらに、2015年には、恵解山古墳公園の設計において、ランドスケープコンサルタンツ協会（CLA）賞設計部門優秀賞を受賞しました。これは、具体的な設計プロジェクトがランドスケープデザインの優れた成果として評価されたことを示しています。

著作と研究活動

黒崎氏は、自身の経験とランドスケープに対する思想をまとめた著作も発表しています。2006年に出版された『プレリュード60 : 黒崎道雄のランドスケープ』は、そのキャリアの中で培われた専門的な知見や哲学が収められた一冊です。また、びわこ地球市民の森における参加型森づくりに関する論考を発表するなど、特定のテーマに関する研究や実践についても積極的に取り組んできました。

現在の活動

滋賀県庁を退職後も、その豊富な経験と専門知識を活かして活動を続けています。現在は、キタイ設計株式会社の技術管理部顧問として、同社の技術力向上やプロジェクト推進に貢献しています。加えて、特定非営利活動法人日本アメニティ研究所の専務理事および関西事務所長を務めており、アメニティ空間の創出や質の向上に向けた研究、啓発、実践活動を主導しています。これらの活動を通じて、現在も日本のランドスケープ、環境、地域づくりの分野で多大な影響を与え続けています。

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