黒嶋神宮

黒嶋神宮の概要

愛媛県の新居浜市に位置する黒嶋神宮（くろしまじんぐう）は、歴史的にも重要な神社であり、県社に認定されています。この神社は、式内小社の黒嶋神社に比定されており、主祭神には大山祇神、木花咲耶姫、天之御中主神が祀られています。神社が設置されている黒島は、かつては離島であったとされ、豊かな樹木が生い茂っていたため、黒い島として名付けられました。

歴史と縁起

黒嶋神宮は、木花咲耶姫の加護によって安産を祈願する神社として、長い間地域の人々に崇敬されてきました。その創建の詳細は不明ですが、奈良時代頃に設置された可能性が高いとされています。一部の逸話として、大伯皇女の物語が伝えられています。この神話では、中大兄皇子の妊娠中の遠智娘が、瀬戸内海の大伯の海にて産気づき、黒島に立ち寄り安産祈願を行った結果、生まれた赤ちゃんが大田皇女であるとされています。

南北朝時代には、特に南朝の勅願所として位置付けられ、江戸時代になると西条藩からも寄進を受けることで、その存在感を増していきました。地域における安産祈願の神社として、信仰は続いています。

摂社の存在

黒嶋神宮には多くの摂社があり、それぞれには異なる祭神が祀られています。天神社には菅原道真が、稲荷神社には稲荷神が、松尾神社には大山津見神が祭られています。さらに、岩長姫神社では岩長姫神が、猿田彦神社では猿田彦命が、そして若宮神社には様々なおこう神が祀られています。また、大松神社には森林の守り神が祀られ、本殿の裏手に位置する山中に存在しています。

特に安産祈願については、神社を訪れた参拝者が安産石を一つ持ち帰り、無事に出産が終わった後にお礼として二つにして返すことで、その子どもが健康に成長するとの言い伝えがあります。

自然と記念物

黒嶋神宮の周辺には、自然豊かな景観が広がっており、その中でも「黒嶋神社のツバキ群生林」は新居浜市の天然記念物として1985年12月5日に指定されています。この場所は観光の名所ともなっており、地域の人々に愛されています。

また、平成13年3月に発生した芸予地震では、神宮の三基あった鳥居が全て倒壊しましたが、その翌年には鋼鉄製の新たな鳥居が建設されました。これにより、地域の安全が守られ、伝統と新しさを融合させた形で神社の存在が続いています。

文化的意義

黒嶋神宮は、地域のコミュニティにとって重要な役割を果たしており、安産祈願を通じて多くの家族に支えられています。地元の人々はもちろん、観光客にとってもその歴史や文化を感じ取れる大切な場所です。

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